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2017年9月22日 (金)

貧脚なんて言わないで

と思ってるんです。まあ表彰台を狙う人からすれば、私なんかが言うのは笑止、となるかもしれませんけどね。それでも敢えてそう言おう。

 そもそも人の持って生まれたモノが違うわけじゃないですか。更に与えられた環境。練習にかけられる時間とかも含めてね。自分で選択できる場合もありますよな。でもできない場合もある。家族の介護とか、子供の教育費を稼ぐとか。もちろん持って生まれた身体のつくりとか。年齢とか。

 ちゃんとした大人は、だから他人の結果をあれこれ言わない。その人の苦労はその人にしかわからんのですもん。

 ただね、日本人の特性なのかな。卑下しちゃう人、少なくないです。謙遜なのかもしれないけど。それが「貧脚」って言葉ですよ。あれ、きらい。もちろん他人をさして貧脚だ、なんて言う人はそうそういない。だいたいが、自分のことを指してそう言うんですがね。だから。自分のことを好きなように呼んだって良いじゃねえか、ってのは理がありそうですが。でも、自分を貧脚と言う場合、独り言じゃあない。誰か聞いてる他人に向かって、ぼかあ貧脚なんで、と言うわけですよ。つまり他人に向かって言ってるんです。そりゃ聞いた方としての思いも言わせてもらいますがな、ってことで。

 でね。例えばマウンテンサイクリングn乗鞍。アマチュアなら90分ならそこそこ速い、って言われます。ました。最近は全体のレベルが上がってますけどね。トップ選手は60分を切ります。ところが例えば、例えばです。年代別の20代とか30代の選手で、50分台の選手が一番高い表彰台に上がれなかったことをもって、貧脚のぼく、とか言うことがあるんです。これ、違う。というか、90分とか120分とかで、あるいは60分台でそれぞれ力を尽くした人たちに向かって、どういう意味を持つか、ってことです。50分台のぼくですら貧脚なんだぜえ?ってことと同義。

 いやね。もちろん判ってます。50分台自称貧脚の彼が、誰かをくさしているのではなく、自分はもっとがんばれたはず、自分はもっと高みを目指したい、という思いで言っているのは。でもね。一人でそう思うだけならいいけど、SNSだのブログだのに載せるってことは、読む人がいるわけじゃないですか。

20170827_103017_p1020193_4 いろんな人が、いろんな思いで、がんばった。その誰も「貧」しくなんかない、と思うんですよ。50分台だったり90分台だったり120分台だったり、あるいはDNFかもしれない。でも貧しくはない。自分を貧脚という人は、結果的に自分よりタイムの良くない人たちを貶めることになるんだ、ということを意識した方が良い、と思うんですね。結果的に、です。自分の思いとは別に、結果的に。

 まあ私見です。それでも言いたい人は言えば良いし、私にできるのは、それ決して聞いてて気分の良い言葉じゃないです、って伝えることだけですしな。

 でだ。まあ、まえばし赤城山ヒルクライム。タイムには関わらず、やれることをやってきますよ、と。そういうことです。

2017年9月21日 (木)

まえばし赤城ヒルクライムコースを試走する

先日、車の中でFM79.5(ナックファイブとお読み下さい)を聞いていましたらね、美川憲一さんがゲスト出演されていたんですね。でね。美川憲一さんと言えば、私が子供の頃から異様な雰囲気を醸し出す歌手でいらして、大物ではあるんだけどメジャーにあってはならない陰がある不思議なポジションの方ですわ。まあピーターさんとか。ねえ。最近でこそ性的マイノリティに対する偏見は修正されつつありますけど、当時はそこら辺の妖しさに触れることさえ許されない的なものがありましたよなあ。でね。今の方々からすると、「誰それ」でしょうし、せいぜい「なんか大物っぽい感じするよね-」ですわね。まあ正直、私も普段から美川憲一さんの歌を聴くことなんかねえんですよ。

 車の中でね、「生きる」って曲が流れましてね。老歌手が、「好きなように生きたことの私だから 死の訪れなど 怖くはなかった やることをやった 人の倍くらい」と言うわけです。「だけど確実に死は迫っている」と。そして「今になって私は生きることの尊さを知った」と歌い上げるんですね。これね。陳腐っちゃ陳腐。使い古された言葉ですよ。ただね、おそらくこの言葉が使い古されたのは、この言葉の重さがわかんないまま使われちゃったからなんだろうなあ、と。思うんです。

 美川憲一さんももうずいぶんなお歳ですから、絶対に死ぬことを意識してるわけですね。昔、大スターでいらして、華やかな世界で、自分のやりたいことを通して、美しいものを愛して、そして老いて衰えて、いく。歌詞の中にこうもあります。「気がつくと仲間が一人 また一人 帰らぬ旅に赴いていった」。そうなんでしょうなあ。同じ時代を生きて、笑い転げて夢を語り、怒りをぶつけた仲間が、この世界からいなくなっていく。だからこそ、生きると言うことは尊いのだ」という実感が深く深く迫ってくるのです。

 そんなことを、赤城ヒルクライム試走から帰ってくる車の中で、FMを聞きながら思わされたのですよ。なにしろ、今回の赤城山ヒルクライムは自分の老い、衰えと向き合うレースになりますからね。

 さて、今回のテーマは「抗い」ですかな。今年の美ヶ原、乗鞍はさんざんでした。どう考えても、これまでの結果に比べて遅すぎる。この原因は何か。劣化か。あるいは機材トラブルか。機材トラブルの可能性は、かなりあります。リアブレーキの片効き。これが頻発していたのは事実です。ただ、走っているときにブレーキを見ていませんから、本当にそうだったのかどうかわかりません。わからないのにブレーキのせいにしておいて、実は体力の低下原因だった、ってことになると、これは恥ずかしい。とにかく、原因を潰していきましょう。

 まずブレーキ。これは自転車屋さんに持ち込んで、完全に分解清掃組み立て直しをしてもらいます。ちょうどシマノの技術者さんもお店に来てたってので、ここんところは大丈夫でしょう。てか、それ以上はできない。

_000_34 次に、ガーミンに現れるデータが異常な件。速度も遅いし、心拍200越えとか。おじちゃん死んじゃう。

実際にそういうデータ通りの結果なのか、データ表示が違うのか。踏み込んでも20km/hにまでですらなかなか上がらない。普通はね、感覚でわかるだろう、そりゃ表示が違ってるわ、と断言できるんでしょうけど、衰えを意識していると、自分がそこまで急速に衰えたって可能性も否定できないわけです。自分の感覚では測れない。

 自転車屋さんに持ち込んだときに、他のお客さんにも試走してもらいました。そうすると、これ軽いですねえ、と。ふむ。じゃあ自転車が重いわけじゃないのか。しかしガーミンをデローザに積んで測定すると、30km/h程度はすぐに出るぞ、と。KAHNだけなんで遅く表示されるのか。設定を確認しました。そうすると、登録した自転車の諸元の設定のところで、自動設定になっているタイヤ周長、これおかしくないか、ってことに気付きました。実際タイヤ周長を測ってみると、実際のタイヤの2/3程度の長さになってます。これか?これだ!

 ここを手動で測った値2130cmに入れ直したところ、速度表示は間隔と一致しました。心拍がおかしいのはバッテリーの問題でしょう。交換します。とりあえず、これなら行けるはず。

 ということで、赤城山ヒルクライム試走にでかけることにします。赤城山は初出場なので、コースや周りの様子も見ておきたい。当日慌てないでいいようにね。台風が接近中ですが天気予報では、午前中はもちそうです。それでも3連休初日なので、渋滞を避けるために早朝に出かけます。と言っても6時くらいです。前橋市は関越を使うと、うちから1時間半くらい。すげえ近い。ご近所と言ってもいいくらいですよね。都心に電車で出るのと変わらん。都心行かないけど。

_000_29 前橋合同庁舎前辺りがスタート地点ですが、近くの高校の駐車場が試走用の駐車場として指定されてます。こういうところ親切で、ありがたいです。街が協力してくれているんだなあ、と感謝します。あ、でも私、間違えちゃって、高校の横の市営野球場の駐車場に入れてしまいました。すみません、でもがらがらだったので許して下さい。

 いずれにしても前橋合同庁舎はすぐそこです。そこからのルートはガーミンに入れてあります。ハルヒルの時は、ホームページにガーミン用のコースデータを置いてくれてたのでとっても楽でしたが、赤城ヒルクライムのホームページにはコースデータがなかったので、ルートラボにあった先人のデータをいただきます。その節はありがとうございました、でございます。ただ走ってみると、あ、これ迷いようがないわ、てのもわかります。

 前橋合同庁舎をスタートすると、信号が二つか三つありますが、いずれも直進。そのあとも直進、最後の九十九折りまで直進。直進であります。普段の土曜日ですから、それなりの交通量はありますが、信号は始めだけですから、信号を抜けるとほぼ自分のペースで走れます。

_000_30 よく赤城のコースは飽きるから辛い、とか、上らなきゃ行けない前がずっと見えてて心が折れる、とか言いますけど、私はそういうのはないですね。あんまり飽きない。脳の記憶容量がないので、飽きるための比較材料を保持してない。常に新鮮!短期記憶脳の勝利。

 最初の5kmほどのところだったかな。臨時の給水所があり、ボランティアスタッフの方が水を配っていてくれました。なんか。ありがたいですよねえ。街ぐるみの歓迎を、ここでも感じます。でも、スタートからのこの距離だと、まだ必要ないです。ご挨拶だけして通過します。

 前半はとにかく緩い坂がずっと続きます。4%とか5%とか。これ、いつかキツくなるのかなあ、どこでキツくなるのかなあ、とか考えても無駄です。キツくなりません。せいぜい8%程度。10kmを越えて最後の九十九折りで10%越えるようなところが少しあったのかな。美ヶ原とかのバカみたいなヒルクライムをやってると、拍子抜けするかもしれませんな。もちろんどんな坂でもその中で限界値まで追い込むので、楽ではないですけどね。

_000_32 _000_33 曇り空で気温は11度。下界の気温が20度くらいですから、けっこう冷えます。本番でも天気次第で防寒具はしっかり持ってた方が良さそうです。ただ、このぐらいの気温の方が走りやすいですよな。苦しいながららもちょろちょろ走っておりましたら、どうやらゴール地点とおぼしき旗が見えてきました。こないだの乗鞍と違って、もう一踏みくらいする余力があります。よっこらせ、と。

 タイムですが、正確にはよくわかんないんです。スタート直後に信号で時計を止めたら、そのまま数分動かすのを忘れてしまい、腕時計のストップウォッチとガーミンのストップウォッチそれぞれ止めるタイミングと動かしたタイミングがずれたので。真ん中とって、たぶん91分前後。遅く見積もっても95分ってところではないかと。

_000_31 速いのか遅いのか、よくわからんのですが、昔のデータだと年代別上位1/3くらいのところになりそうな感じです。このところレースのレベルが上がってるから、今年なら1/2くらいかな。これなら乗鞍2時間越えも、体力以外の問題があった、と考えていいのかな、と思ってますが、問題はやっぱり本番ですな。そこでダメなら、やっぱりダメです。

 来年の乗鞍と美ヶ原、どうしようっかなあ。今回、90分が切れるようならもう一度再チャレンジしたいという思いもありますが、あそこ遠くてねえ。ハルヒルや赤城の便利さを知ると、なかなかハードルが高い。それに乗鞍ってこの頃運営が雑になってきてる気がするんですよねえ。ハルヒルや赤城に比べると。まあ、いろいろと調子に乗ってますが、とりあえずまえばし赤城ヒルクライム、走ってきます。

2017年9月16日 (土)

気持ちだけはロングツーリング WorldWalk スマートフォンマウントロングスクリーン

_000_28 いやあ、MT-07乗ったの、何ヶ月ぶりだろ。意外とバッテリーってもつもんですね。去年の年末からこっち、乗ったのは数えるほど。春もね、ろくに乗る暇がなかった。何しろMT-07買って14ヶ月、2800kmしか乗ってねえ。てか、この先もどのくらい乗るんだろう。つうのはですね、50肩がひどいってのは前回ちょっと書きました。で。久しぶりにMT-07に乗ったらですね、左腕の脱力感がひどい。まあ運転できないほどではないってか、握力が減退してクラッチ握るのに苦労するとか、そういうことはないんです。けど、乗ってる間にずっと違和感がある。これヤバいんじゃねえの。と思っちゃうわけですよ。

 50肩ってのは、標準的な回復傾向を辿ればいつかは直るんでしょうが、五十肩に限らず身体の劣化は進んでいるわけで。これ以上反射速度が落ちたら、あるいは身体の可動範囲が狭まったら、バイクに乗ってて楽しいと思うより怖いですよね。ロードバイクで何度か事故ってますので、事故が起きたときのイメージ化が半端ねえです。

 でもね。オートバイも好きなわけですよ。あくまでも、体が動く時期に乗ってたときの記憶によるものなんですがね。それでもって、少しでも使いやすくするために、ちょこっとした手を加えています。

20170825_211211_p1020212 今回、手を加えたのはスクリーン、風よけ、風防、そんな感じのものです。MT-07はいわゆるネイキッドバイク、フェアリングなどのカバーがついてないシンプルなバイクです。それゆえの美しさというか、良さがあるわけです。ところがフェアリング、つまり風防というのは、空気抵抗を減らしたり、搭乗者の疲労を軽減するのに大きく役立つわけです。まあだからこそ、スーパースポーツのような高速で走るバイク、ツアラーと呼ばれる長距離を走るバイクには、それなりのものがつくことが多いわけですね。

 MT-07に乗ってみて、一般道を走ってる分にはスクリーンの必要性を感じることはないです。高速に乗ると、風圧ってすごいなあ、と感じますね。100km/h辺りになると、風圧に耐える、って感じがします。これで風の強い日ならもっとです。そこで、ずいぶん前からスクリーンを付けたいと思っていたのですが、残念ながら好みに合うものがなかなか見つかりません。コンパクトなものはすっきりするのですが、風防としての効果は薄い。大きなものは風防効果はありそうですが、見た目が大仰すぎる気がする。

 ときどきウエブをチェックしていてようやく自分好みに近いものを見つけました。それがWorldWalkという会社のスマートフォンマウントロングスクリーンという製品です。MT-07用のスクリーン、多くのコンパクトな製品はヘッドライトの上にボルトで直付けするものが多いようですが、これはヘッドライトの上のボルトにフレームを付けて、更にそこに設置するようになります。

_000_26 _002_4 まず元々ついているボルトを外して、そこに土台となるフレームを付けます。このフレームはかなりしっかりとした鋼管でできていて、ボルトで固定すると全くビビり感はありません。

 フレームに、スクリーンを付けるプラスチックの留め具を付けます。敢えて言えば、ここの強度はどうなんでしょう。鋼管のフレームに直接留める方が強度は上がりそうですが、ここで振動を吸収させているのかもしれません。

_006 _007 ここまでの作業時間は30分もかからないほど、難しいことは特にありませんね。この製品は、製品名通りフレーム本体にスマートフォンを付けるスペースを用意しています。MT-07はハンドル周りのスペースがえらく狭いので、スマートフォンやらUSB電源やらを付けるのに一苦労ですから、そういうスペースができるのはありがたい。ただ、一般で売られているスマートフォンアダプタなどは、ハンドルの太さに合わせた固定具を用意しているので、そのままだとすかすかになってしまいます。で。このバーに巻き付けて太くするアタッチメントが売られてます。付属の6角レンチで締め付けるだけの簡単な設置です。ただネジが小さいので、落とすと大変。気をつけましょう。

 よし。これでスマートフォンアダプタを取り付けられる。なんてナイスな商品なんだ。

_009 よし。さてスマフォを入れよう。私のスマートフォンアダプタは、受け具の上部からスライドさせて納めるようになっています。ん。んんん? 上部って、スクリーンに接してるよね。これ。上からスライドさせるにも、スマホを入れるスペースが取れないじゃん。むりじゃん。しょうがない。角度を変えて、スクリーンに当たらない場所に。って考えますよね。スクリーンに当たらないところまで角度を変えると、画面が90度以上の角度になって、とても画面が見えねえじゃん。ダメじゃん。この位置に付けられねえじゃん。

 うーん。これってスマートフォンアダプタをかなり選ぶんでしょう。前面からはめ込む形のアダプタなら使えると思いますが、私のアダプタのように上面から填めるタイプのものは無理です。しょうがねえ。とりあえず、しばらくは以前の位置にスマホは置くようにします。まあそれでも使えてるわけだしね。

 さて。走ってみよう。ちなみに今回のスクリーンは透明ですが、色としてはスモークも選べます。迷ったんですけどね。ハンドルのガードがスモークなので色を揃えようかと思いましたが、透明の方が存在感を主張しないし、頭を伏せたときに前が見やすいかも、と課考えたんですね。

 よし、ともかく走ろう。暑いけどさ。だいぶ秋らしくなってきました。久しぶりに高速に乗ります。高速に乗るまでの間、違いはほとんど感じません。風が身体に全く当たらない、とかいうことにでもなればわかるんでしょうけど、そこそこ風は当たります。

_000_27 高速に乗ります。まず、スクリーンが風圧でビビるとかたわむとか、そういうことは一切ないです。とりあえず巡航速度まで加速。90km/h程度で流しているときも、それほど違いは感じません。やや、やや風当たりが小さいかなあ、という程度です。そこから上、そうですね、追い越しのために一時的に加速をかけたようなときに、今までだったら首にかなりの負荷がかかるような速度域になったときに、違いは出ます。特に身体を伏せると、これまでのような風圧に耐えて体勢を維持するような苦労がかなり軽減されています。

 ただね。巡航速度域での変化は微々たるものですので、1時間程度の高速走行ではそれほど疲労感に影響はしないですな。おそらくロングツーリング、それも高速を長時間は知らなければならないようなときには、その積み重ねは出てくると思われます。あとは思いっきり加速かけていくような高速域ですけどね。まあそれって法的にも安全面でもね、そこまでして走んなくてもいいじゃん、と思ってしまうタイプなのですよ。

 やっぱりオートバイって剥き身で100km/hのような速度で走るわけでしょう。自分がまっすぐ走っていても、前で回避できないような事故が起きれば巻き込まれるわけじゃないですか。100km/h越えるような速度で、車間距離30mとか、すり抜けとかやってる方を見ますけどね。死ぬよ。ぐちゃって。

 私のようなたらたらした走りで、スクリーンがいるかどうかわかりません。まあでもね。こういうの付けると、自分のバイクがちょっと変わっていくってのが、かわいいじゃないですか。趣味のものですから、実用性も去ることですが、いいかもって思うようなちょっとしたアクセサリーを付けるの、悪いことじゃないと思ってます。

 今しばらくは50肩がひどいんで、あんまり乗らないかもしれませんが、痛みが治まってきたら、また少しツーリングなども行ってみたいと思ったりしてます。

2017年9月 8日 (金)

インターマックスという会社は笑いを売ってます ビブパンツは薦めません

20120825_151225_p1040179 インターマックスというのは自転車関連用品の輸入代理店であります。扱っている自転車としては、KUOTAARGON18DadacciaiWRRITCHEY、ふむ。用品は更に多くMETCASTELLI、まあ書いてるときりがないくらい。立派な商社さんですなあ。と、わざわざ言うには当然わけがありますな。

 もともとは日本人初のツール・ド・フランス出場者の今中大介さんが1998年に始めた会社で、自転車選手が得意を生かして始めた個人商売に毛が生えたようなもんだったらしいです。今中さんがプロデュースするInterMaxブランドのバイクも数年前まで見かけました。が。その後取り扱いバイクも増え、用品も増え、会社も徐々に大きくなってきたことで、今中さんは代表を退かれ、InterMaxブランドのバイクもなくなりました。

 私は2台目のバイクがKUOTAKEBELというバイクでしたので、そっからのお付き合いです。正直ロードバイクを買うときに、何を買うかというブランドの問題と、どこで買うかという販売店の問題が大きくて、どこの商社が扱っているブランドというのはあまり考えません。トレックやジャイアント、ピナレロのような大手は、代理店を経由せず、自分で販売までやっていますが、KUOTAはそこまでマスのメーカーではないので、代理店を通します。うん。

 でね。KUOTAというメーカーの話ではないのですよ。今回は。あくまでもInterMaxという代理店の話。ディスる、というか、まあ笑い話と思ってるんですがねってことです。

20170402_091527_p1010392 BMCを落車で失ってから、KUOTAKAHNというバイクを購入しました。でね。バイク買ったときに、バイクと同じブランドのジャージが欲しいな、と。BMCの時はアメリカのパールイズミが作ったプロチームのレプリカジャージがあったんですが、KUOTAはあまりメジャーなプロチームにバイクを供給しているわけではないので、プロチームのレプリカジャージはありません。まあ、あることはあるんですけど、かなりマイナーなチームで、とてもレプリカジャージを供給するような体制ではないんですよ。

 あ。ネットで検索するとけっこう出てきますけど、上下で1万円を切ってるようなジャージは確実にパチモンです。中国で作られたとおぼしきコピー商品、これをいくら買ってもメーカーの応援にはなりません。好きなメーカーならば余計に買うべきではないです。ま、それはともかく。

 でね。インターマックスのサイトをよくよく見ると、見つけにくいんですけど、KUOTAオリジナルジャージ12000円とビブパンツ13000円があるわけです。これを買えばいいんだな、っと。どうせならお世話になってる自転車屋さんを通して、そっちも儲けが入るようにしないとな。っと。

 と注文を出したのが、去年2016年の10月です。バイクの注文と一緒にやったわけですよ。ところが、その時点で自転車屋さんにはインターマックスから「今年の在庫がない」という連絡が入りました。まあ夏も終わってますし。シーズンものにはよくあることです。しゃあないね。

 ところが12月頃でしたかね。ちょっと曖昧なんですが、たまたま自転車屋に行ったときに、ジャージだけ入りましたよ、と。どっかで在庫があったのが見つかった、とね。ふーん。ビブがないのね。いや、Mサイズならあるんだけど、Lサイズは在庫がない、と。私はちょっと自転車乗りとしてはお肉が多い人なので、Lサイズでなきゃ入らないな、と思ってましてね。Lサイズをずっと頼んでいるんです。まあいいや。2017年モデルが出たら、新しいパターンのビブとジャージを買えばいいんだから。とね。ジャージ、ゲットしました。自転車屋さんには、新しいジャージの発売予定が出たら教えて下さいねってお願いして。

 でね。2月になっても3月になっても、2017年モデルのアナウンスがないわけです。どうなってるんです?って自転車屋さんに聞くんですね。インターマックスのサイトではずーっと、ずーっと在庫がないといってたビブが販売中になってるわけです。ちょっと問い合わせてみて下さいよ。と。

 そうしますと、4月になって突然、ビブが入りましたって連絡がありました。でね。Mサイズ。いやMサイズでなくてLですってば。って言ったら、自転車屋さんが言うには、「そう言ったんだけど、Lサイズは巨大でとても普通の人がはけるサイズじゃない。ほとんどの人はMサイズで十分だって言われたんですよ。Lもあるけど、とりあえず試して下さい、と言われたんだ。」とね。

 しょうがねえなあ。そんなに巨大なのもイヤだけど、Mサイズねえ。うっ。やっぱりキツい。腹回りじゃなくて、肩紐が短くて身体に食い込む。こんなん肩が凝っちゃって着てられないですよ。もちろんウエア自体もぱんぱんなんですけどね。

 で。交換してもらうことになりました。これが4月。いいですか、「Lサイズもあるけど巨大だからMにしろ。Lの在庫はあるけど」、ね。交換してくれるんならとりあえずお金は払っておきますよ。これ4月です。それから2~3週間経っても、インターマックスなしのつぶて。自転車屋さんはお金を受け取ってるから恐縮しちゃって、何度も問い合わせるわけです。ハルヒルで着たいんですけど、って言ってあったから余計ですよ。

 そしたら。5月になって「在庫がないので、今、国内の販売店が在庫を持ってるかどうか確認している」と言うんです。はい?Lサイズ持ってるけど大きいから止めとけ、って言ったんだよね、そのLサイズはどこにあったの? ハルヒルはもう間に合わないよね、まあいいや別のジャージ、買ったのがあるし。

20170908_1 更に23週間。そうするとね、「国内にないって言ってます。そもそもインターマックスは国内に仕入れてないそうです。イタリアからLサイズは巨大だからMサイズにしとけって言われたから、って」って自転車屋さんが言います。はい?そもそも、日本に入れてない?それをウエブサイトに載っけてる? てか、あるから待ってくれって言ったのは誰?国内探してるってなに? 巨大だってどこから出た話なの?

 だんだん面白くなってきました。わかりました。もう、ないならないで、返金の処理をしてもらっていいですよ、と言うわけです。ところが、自転車屋さんがインターマックスにそう言うと、「ちょっと待ってくれと。必ず仕入れる。今海外の店舗にも連絡を取って在庫を調べてもらっているから。責任を持って必ず探すから。申し訳ない。」はいはい。責任ね。

20170625_092621_p6250013_2 もうハルヒルも終わりましたしね、次は6月の美ヶ原HCです。美ヶ原の1週間くらい前だったかな。自転車屋さんにどうですか、って聞きました。そうすると、インターマックスの担当者が店に謝りに来るから、店に来てくれって。えええ?面倒くせえ。ないならないでいいって言ってるのに。あー、でも山梨からわざわざ謝りに来る担当者が可哀想だよなあ。責任あるもんなあ。

 担当者が自転車屋さんにやってきました。若い人の良さそうなお兄ちゃん、確か選手としても頑張った人。その方が言うには「イタリアの担当やってるお姉ちゃんがどうもいい加減で、適当にはいはいって言ったみたいなんですよ。」と。更に「実はLサイズ自体を作っていなかった」という衝撃の事実が。ががががが。まあもう驚きませんけどね。

 ただね。イタリア人がいい加減かもしれませんけど「巨大だから」とか確かめもせずに言ったの誰? 在庫があるって言ったの、誰? まあいいですけどね。

 3週間待ってくれ」、「自分の上のものが担当になって、直接イタリアとやりとりをしている。これから作らせるから3週間待ってくれ」。まあもうどのみち美ヶ原にも間に合いませんわね。まあでも驚かない。お兄ちゃんは手土産のゼリーをくれましたから。手土産大事ですよ。うん、きっと。たぶん。甘くて食べきれなかったけど。

 絶対3週間じゃ作ってこねえよなあ。素直にできませんでした、って言えばいいのよ、って自転車屋さんと話します。4週間経った7月の終わり。自転車屋さんに尋ねました。どうです? 「まだ全然来てない。あ、交渉の担当は今、副社長がやってるらしいよ。乗鞍にはインターマックス、ブースも出すから、乗鞍に来たら謝りたいから、ブースによってくださいって言われてる。」

20170826_140944_p1020244 あ、これはダメだわ。まあ面白いから許す。で。更に1ヶ月。乗鞍直前1週間前。やっぱり届かない。そして乗鞍。ブースに行きましたよ。ひょっとしたらブースに持ってきてるかもしれないしね。ねえよ。そんなもん。担当者がひたすら頭下げて、補給バーを2本くれました。いや、補給バーもらいに行ってるんじゃないんだけどな。頭下げながら言うわけです。「1週間以内に、ちゃんとしたお返事をしますから」。ええっと。インターマックスの言う1週間って、どのくらいの長さなんだろうね。何しろ、副社長が3週間で作らせるって言って、二ヶ月できないんですからね。どんな工場なんだろう。てか、イタリア人ってどんだけいい加減なんだろう、ってそういう話してるんですよね。

 まあ面白いから許す。そして乗鞍から1週間。販売店に連絡がありました。ドイツの自転車ショーに行ったインターマックスの担当者からメールで、こちらで直接受け取ったから、日本に持って帰る、と。

わからん。何を言ってるのかわからん。イタリアで作ったものをわざわざドイツのショーに持って行って手渡しする意味が分からん。なぜイタリアから直接航空便で送らんのだい。なにを、いかにもやりました的な感じで、ドイツで受け取った!みたいながんばった感を出しているんだい?

ビブが届きました。

20170906_191028_p1020336 20170906_190710_p1020334 履きました。サイズ感はまあいいとして、パットがごわごわして脚が密着しねえ。これで自転車乗ったら血ぃ出るわって最低の履き心地、税込み14000円のインターマックス取り扱い、注文から11ヶ月のビブショーツ。最低です。まあインターマックスってそういう会社だと思ってるので、驚きません。面白いから許します。でも、これなら3800円の中華コピー品の方がいいかもしれません。ああ、揺らぐなあ。

 結論として、インターマックスの仕事と約束は、軽い。まあそういうふうに思っちゃったってことです。今、サイトに載ってるビブパンツ、買ったらどうなるんだろう。だれか試してみて下さい。

2017年9月 3日 (日)

これが実力なのか マウンテンサイクリングin乗鞍2017 実力なのかもな

20170826_135110_p1020239 えっと。乗鞍にエントリーしたのは自転車に乗り始めて2年くらいしてからです。2012年の乗鞍が一番最初でした。大きな落車を経て目標を持ちたかった。ところが、その翌年も巻き込まれ事故に遭い、肋骨と手甲骨が折れたまま出るしかなくなった。そのときのタイムが1時間45分。ただお天気が良かった。上ってる最中は周りのことなど見る余裕もなかったですけど、いろいろあって、ようやく辿り着いたゴールの青空。そこが大きな目標になったわけです。

 その後、天候に恵まれなかったり、また落車してケガをしていたりして、まともにフルコースを走れることがありませんでした。余りに走れないので、もうこのままリタイヤしようと考えたこともあったくらいです。んが。あの青空が忘れられなかった。もう一回走ろう、と。目標としていた1時間30分にどれだけ近づけるかやってみよう。この半年くらいは、そういう時間でした。

20170827_064842_p1020278 ところがね、このところの老化の進行は恐るべきもので、練習強度が上げられない。練習してるときはまだいいんですよ。そっからの回復がどうにもならない。更には身体の不調があちこち出てくる。具体的には痛みですな。今は50肩。これね、強烈に痛いです。50肩とかっておっさんの病気やん。そうですよ。ただね、病気というか、身体が老朽化して壊れていく過程みたいなもんなんですよ。老化ってのは。個人差が大きい。これは体質と環境が作り出した体質なんで、今更どうにもできない。若い頃から養生してれば別なのかもしれませんがね。今、元気な(相対的に)若い皆さんにお伝えしておきますが、古い冷蔵庫と同じで、人間の身体も確実に老朽化するんですよ、と。

 50肩という笑い話のような病気の痛みですが、腕を極められたような痛み、と言えば一度でも関節技を食らったことのある人には想像がつくでしょうか。腕を捻じりあげられ肩関節を極められて、肩から二の腕にかけて痺れとも激痛ともわからんものが走り、激痛のあともしばらく痛みが残る。つまりね。老化ってのは常に痛みと暮らしていくようなもんなんですよ、と。たまにそういうことをなんも感じさせないような超人がいますけどね。あれは1%の天才の資質。自分がそうであることを期待するのは無駄です。99%の凡人である可能性の方がよほど高い。

 まあそうはいっても、命に関わるような病気は今のところ出ていないので、走りましょう。と。あの青空を見るために走りましょう。と。

20170827_060744_p1020164 今回のマウンテンサイクリングin乗鞍。最高のコンディションでした。前日から全く雨の心配をする必要がない。今年のツール・ド・美ヶ原、惨憺たる結果でしたから、それなりに対策をしてきていますが、少なくともコンディションで足を引っ張られることはない。今回泊まった宿は会場から2kmと少し離れていますが、それもまた適度にアップができるというものです。宿で少しローラーを回して心拍数を上げたあと、会場に向かいます。

 申し訳なかったのは奥さんです。今回の乗鞍、例年実施していた同行者用のトレッキングプランをいきなり廃止しました。ホームページでの告知もなし。だから奥さんにとっては、遠い会場まで歩いて、スタートを見たらあとはすることがない、と。応援バスも受付後2時間の時点では締め切られていました。トレッキング、やらないならやらないで告知して欲しかったですな。

20170827_065859_p1020169 スタート前。いつものようにトイレは大混雑ですが、私のトイレは宿で済ませました。朝の気温は低めでしたが、太陽が高くなるにつれ、気温も上がり、快適です。身体は軽い。スタートは最前列。これはたまたまです。どのみちスタート直後に前に出るつもりはありません。最初に出してしまうと、すぐにばててしまうんです。

 スタートの合図とともに周りが飛び出していく。私はコースの右側を自分のペースで走って行く。悪くない。抜かれているけど、焦りはない。が、なんかおかしい。抜かれているとは言え、同じようなペースで走っている集団の中にいます。心拍数160を少し越える程度。ところがガーミンの速度表示は7km/h8km/h。確かに、10%を越える坂が続くような場所ではそこまで落ちることもあります。が。しかし。いくらきついところでも4km/hって遅くないか。自分だけでなく周りもです。これ、表示がおかしい。そうして見ると距離もおかしい。第1チェックポイントの三本滝は7km程度のはず。が、ガーミンの表示では4km

20170827_075843_p1020174 これ、明らかにおかしい。こうなってくると斜度も信用できません。まあしかし。サイコンが走るわけでないですから、サイコンのデータはもう気にしない。そういえば美ヶ原でも、距離は全然違ってました。あのときはむしろ走行距離が長く表示されていて、距離感をつかみ損ねたんだった。今回はもうこれは当てにならない、と決めてしまいます。

 しかしペースが判りません。速度も距離もわからない。唯一頼りになるのは、時間とコース途中のチェックポイントです。まあ、出せるものを出し切って走るしかない。

 中間地点、という表示が現れました。この時点で約45分。この表示を信じるならば、へたれないで走り切れれば、90分、多少へたれて100分くらいで走ることも可能なタイムです。これはもう行ける、行かなきゃ。

20170827_085848_p1020177 森林限界を越える辺りから先、呼吸が厳しくなっていくのはわかってます。しっかり呼気をはき出すことに注意します。ところが、キツい。斜度は信用できないけど10%は越えてるでしょうか。キツい。空は青い。時々周りに目をやると、遠くの山まで見えます。行く手には雪渓が見えてきました。しかしキツい。

 どうもおかしい。45分で中間地点、ところが85分経過して、コースに残り6kmという表示が出てます。ちょっと待て。普段、白石峠の6kmで、35分かかるんだから、こっから最速でも30分くらいかかるってことか。おかしいだろう。乗鞍のコースは全長21kmを少し切る。10.5km45分かかって15km85分って。4.5km40分か。とまで細かく計算はしてないです。でもおかしい、というのは感じてました。少なくとも90分切りが不可能だと言うことは、酸素の足りない脳でも理解できます。

20170827_101736_p1020186 おかしい。キツい。こんなに進めないものか。完全に木々が途切れて見通しがよくなり、坂の先に青空が見える。けれど、もういつ足をつくか、ということしか考えられません。なんでこんなことをしているんだろう。もう限界なんだよ。このタイムでは120分、よくてその程度。それってろくに練習もしてなかった5年前より遙かに遅い。老化ってやつだろう。そんなんでこれから先もヒルクライムレースをやる意味ないだろう。もうゴールしたら止めよう。今日はとにかく足だけつかなければいい。それだけがんばればいい、もうゴールしたら止めよう。赤城ヒルクライムもDNSだ。のんびり走ればいいじゃないか。

 走り終えた先頭グループが下山を始めています。ときどき頑張れって言われてますが、顔を上げる余裕もない。ほとんど足は止まりかけています。そして最後の上りの先にゴールラインが見えました。あと一踏みがどうしても出ない。のろのろとゴールを越えました。手元時計で2時間1分。打ちひしがれて、荷物置き場に向かいます。その間、タイムを気にするヒルクライムはこれで終わりだ、もう赤城は出ない。そうぐるぐると考えてました。

 そして荷物積んだバスに向かい、自転車ラックにバイクを立てかけて、荷物を受け取ります。とっとと帰ろう。もうこんなことは終わりだ。赤城はDNS。それでいい。

20170827_094347_p1020181 そしてまた自転車を押し始めます。その瞬間、愕然としました。自転車が進まない。なんで。後輪が張り付いたように回りません。ブレーキが張り付いてます。これ。これって美ヶ原で出たブレーキ片効きか。直ってなかったのか。ローラーをやってるときは問題がなかったけど、考えてみれば美ヶ原から外を走っていない。ローラーはブレーキを動かすことがない。直ってなかったのか。このブレーキがホイールに張り付いたのはいつからだ。ずっと張り付いていたなら、この高いブレーキシューがずいぶん減っちゃったんじゃねえか、いやいやそこじゃない。

 このタイムを出したのは、老化による衰えなのか、機材トラブルなのか。どっちなんだろう。それを確かめなきゃいけない。走れなくなる日はいずれ来る。でも今じゃないかもしれない。前橋赤城山ヒルクライムまであと4週間。仕事が立て込んでいて山を走る暇がないけれども、もう少しだけローラーで足掻いてみます。

2017年8月28日 (月)

広島からしまなみ海道を渡って四国を巡る⑦ 桃源郷祖谷の山里は日本の田舎をいろいろと考えさせられる

えーーと。まず大切なことを。前回、「次は香川だー!」って勢い込んで語りましたが、すみません。祖谷の山里は香川でなく徳島でした、ざろっくさんよりご指摘いただきました。申し訳ねえっす。頭の中の存在感が、讃岐うどんの方が古民家より大きかったんです。が。行ってみると意外と古民家も考えされられました。

20170811_144622_p1020115 20170811_144712_p1020117 ということで。田舎集落大歩危から更に20km、道は広くなったり狭くなったり。概ね狭くなっていきます。祖谷の山里はホテルのコテージとは違い、村の中の再生された古民家ですから、家と家の間が離れていますし、コテージのような立派な管理棟があるわけでもありません。宿泊の受付などをする管理棟は、廃校になった小学校です。


20170812_064402_p1020166 ここで受付を済ませると、スタッフが車で部屋まで先導します。と言っても、宿の中の移動を想像しちゃいけません。村の小学校からどっかのお家まで行く、ということですから、そこそこの距離はあります。それもかなりの急坂を上って行くんですが、これがところによっては片側崖、片側溝、しかも車一台が通れるギリギリの幅で。雪のある冬場はとてもじゃないですが、上りたくないです。そういうときはタクシー推奨だそうで。そりゃあそうだわと納得ですな。ちなみに、ここまで商店らしい佇まいを一切目にしておりません。あ、自販機が一台あったかな。急坂の手前。歩いたら20分くらいかかりそうな場所です。

20170811_151710_p1020126 急坂を上った先に、民家が何軒か、その中に茅葺きの民家が2軒あります。そのうちの1軒が今回宿泊する「雲外」というお家。元が民家なので、家の間取りはそれぞれ違います。雲外は4人まで宿泊できますが、中には8人も泊まれるお家もあるようで。雲外のお値段は食事無しで約3万円。うちの場合一人当たり15000円ですが、4人いれば8000円を少し切りますな。

雲外」は家が石垣の上に建っていて、その下の道路に車を停めます。ということは階段を上って家に入るわけです。15段かそこら、たいした階段ではありません。なんですけどね。ここまでの坂道、そしてこの階段。お年を召されたら暮らしづらいわなあ、と思います。このあと、荷物を宿にあげるのに何度か行き来をしましたが、やっぱりその程度でも面倒ですもん。そりゃあ、歳を取ったらもう少し便利なところに住みたいですわねえ。

 実は、と言うほどのことではありませんがね。私が生まれて幼少期を過ごしたところがまさにこんな山の中で。もう20年以上帰ってないので、そもそも今も集落があるかどうかさえ疑わしい。20年前に行ったときですら、お年寄りが数名残っているだけのような有様で。子供たちは近くのもう少し便利な村で仕事を見つけられた人はそこで、ほとんどは東京や大阪などに出て行ってしまった、と。

 そうなんですよね。昔、ここに住んでいたときは、母親が歯医者に行くにも三日がかりだった、と話してました。それも1日歩いて村まで出てバスで、そして列車に乗って医者のいる町まででかけなきゃならない。少しぐらい歯が痛くても、正露丸を咬んで我慢した、と話していましたからね。そんなことを思い出しました。

20170811_151848_p1020128 20170811_151902_p1020129 さて、15段の石段を上ると、雲外です。屋根は茅葺き、家の外壁は竹を割ったもので覆っています。これはちょっと違和感があります。昔の家はこんなことはしなかったですもんね。竹の外壁をのぞくと、下地は土壁になっています。これがもともとの外壁でしょうが、補修も維持も大変なんでしょう。それで竹を割って外壁に化粧したんですな。日本の古民家本来の姿を期待すると、ちょっと違和感がありますけど、維持を考えるとやむを得ないところです。かやぶき屋根の維持にもコストがかかりますし。

 入り口はナンバーキーで管理しています。カードやキーを預かるわけでないので、チェックアウトの時に管理棟に寄って鍵を返す手間がかかりません。ただ、ナンバーを忘れると入れなくなります。そりゃあ大変。と思いますけどね。実際こんな山の中、いちいち鍵をかける必要なんてありません。人がいないんですから。これは祖谷の山里に限りませんけどね、外部の人間がうろうろしてたら目立ってしょうがないのが田舎の集落です。町からの距離自体が防犯システムになっている、と言えるでしょう。

20170811_151939_p1020131 20170811_151943_p1020132 20170811_151913_p1020130 お家に入ります。外は古民家ですが、中は完全にリニューアルされてます。残っているのは柱と間取りくらいのもんじゃないですかね。昔土間だったり台所だったりしたところは、きれいで機能的なキッチンになってます。冷蔵庫、電子レンジ、IHレンジ、炊飯器に食器や調理器具が一揃い、それもとりあえず揃えた、ではなくてセンスのいいものがきちんと揃ってます。これはなんか使いたくなるなあ。けど、今回は食材はもっていません。ざんねん。

20170811_152926_p1020146 20170811_151951_p1020133 広いキッチンのすぐ横がリビングになります。リビングの中心には囲炉裏がありますが、今回は使いません。いやそもそも使えるのかどうか知りません。すまんです。部屋の南側は大きく開いて、谷を見下ろすようになっています。気持ちの良さそうな椅子も用意されていて、さあどうぞこちらでビールでもお飲みなさいと言われているような気がします。うん、だから仕方ないの。ビールはね。あ、でもあとでね。

20170811_152034_p1020135 20170811_152101_p1020137 20170811_152043_p1020136 リビングの反対側、キッチンを挟んで、小さな階段があり渡り廊下があります。ひょっとしたら昔はつながっていなかった離れになるのかもしれません。で。奥にまず広めのシャワーブース。そして更にお風呂。脱衣所の手前の戸棚の中には、洗濯乾燥機もあります。ひゃっほい、溜まった洗濯物、洗って帰ろうっと。あ、当然のことながら、室内は冷暖房完備。トイレもウォシュレットです。

20170811_152127_p1020140 ウォシュレット...。こういう山の中で水洗トイレって、どうやって実現してるんでしょう。まあそれを言えばお風呂やWiFiなんかもそうなんですけどね。そもそも下水道が来ているようなところではない。ごらんのとおり山の斜面のかなり上の方に建っている家です。水洗トイレがもともとついているような環境なら、ああ私だって住みたいですよ。

 検索してみました。ふむふむなるほど。浄化槽か...。あ、いかんいかん。調べ始めたらはまってしまった。ぜひ一度ご検索いただきたい。文明最高っ。

 まあ要するに、快適を実現するためには高いコストがかかるんだなあってことです。田舎暮らしはいいよねえ、こんな素敵なおうちがあれば田舎暮らしでも全然いいじゃん。って。まあつまり地獄の沙汰も金次第ってことね。逆を言えば、やっぱり歳をとって田舎で暮らすってのは、かなり大変なことです。

20170811_175608_p1020154 20170811_162949_p1020153 夜が更けてきましてね。晩御飯はあらかじめ頼んであったケータリングです。ケータリングと言ってもピザやチキンが届くわけではない。そもそもそんなお店は存在しません。ちかくにそば道場なるそば打ち体験ができる蕎麦屋さんがあって、そちらで作った昔からの郷土料理をいただきます。ちなみにお値段お一人様3200円。肉はねえです。お若い方は、やっぱりちょっとした食材を買ってきたほうがいいかもしれませんが、おじちゃんとおばちゃんにはこちらの方がいい。地元で売ってるすだち酎なるお酒と一緒にいただきます。

20170811_192941_p1020162 あ。テレビもありますよ。リビングの棚の中に隠れています。けど、せっかく静かな山の中に来たんですから、テレビは付けずに、だらだらと過ごすのがお勧めです。この日は少し雲がありましたが、それでもよく星が見えました、山の中、ぽつんぽつんと小さな明かりがついています。静かな山の中です。いいなあ。いつか田舎に戻ってきたいなあ。

 でも、やっぱりもう水洗トイレ&ウォシュレットのない生活は無理だなあ。こうして時々山の宿を訪れて、しっかりそこでお金を使う。3200円の夕食は高いですが、それが山で暮らす人々の生活を支える、経済を回すことになる。たぶんキャンプと同じで、こういうかかわり方をさせてもらうのが、いいんだろうなあ。

20170811_192920_p1020161 あ、晩御飯、あっさりはしてますけど、量はたっぷりあります。朝ご飯に残しておいて食べることができるくらいですな。朝ご飯をお買い求めになる場合、食材を買い足す場合はお気を付けください。

 夜も更けていきます。腹もいっぱいです。明日はいよいよ帰る日です。

 ということで駆け足。帰りは香川の高松空港から。というか香川うどん県に行かずしてなんの四国、みたいな思いはありますよね。実際、讃岐うどん、はまっていた時期もありました。最終日は朝からうどんを食いまくるぞ、と。

 えっとね。結論を先に言う。うどん旨いけど、もう若くないからそんなに際限なく食えるもんじゃない。さらに言えば、たぶんどこもそれなりに旨い。少しずつ方向性の違いはあるだろうけど。でも2杯食って、しかし更に3杯目を午前中に食う胃袋は残ってない。旨いんですよ。旨いんですけどね。

 ということで1店目。讃岐うどん第1位山越うどん、朝9時半に訪問。9時半だからね。なんとか入れるかしら。とんでもねえです。9時半の段階で1時間半以上待ちの行列。駐車場整理のおじさんが、「ここ美味しいですか」って聞かれて「美味しいですよ、とても。でも暑いから無理しないでくださいね」と言ってるのを聞いて、こう理解しました。「旨いのは旨い。けど暑さの中1時間半待って食べなくても、ほかのうどん屋も美味しいんですよ」と。

20170812_101302_p1020180_2 20170812_101630_p1020183 20170812_101336_p1020181 はい、山越うどん終了です。というわけで。はい。テーマは並ばなくてもちゃんとおいしい讃岐のうどん。それで改めての1軒目、中西うどん。おいしい。ほうほうアナゴ天ぷらがお安いです。

20170812_104505_p1020185 20170812_104739_p1020189 20170812_104715_p1020186 はい次。宮武うどん。麺がちょっとざらっとして手打ち感がある。武蔵野うどんに通じるものがありますね。が、そこは讃岐。澄んだお出汁が美しく美味しい。よし、次行くぞ。次。。あ、いやもう無理。3軒くらいは行けるかと思ったんですが、ちょっと無理。

 てかあのね。やっぱりね。讃岐うどんの経験値が低すぎて、その店その店の特徴を際立たせることができません。出汁の違いとか。色が薄くて甘めのいりこ出汁って共通点がばんって前に出てきて、細やかな違いが見えません。あえて言えば、中西うどんは讃岐うどんらしさがわかりやすく、山越うどんは素朴さが源流を感じさせる、ってのかな。そのくらい。でも中西うどんは「ひやひや」で食ってますし、山越うどんは「あつあつ」で食ってますから、そもそもベースが違う。そういう意味でも比較はできんのです。

 あ。でもね。やっぱりひとつ不満なのは、天ぷらが安いのはいいんだけど冷えてるのは、やっぱり残念。実はそこが東京ではなまるうどんがウケずに丸亀製麺がウケ続けている理由じゃないかと思うんですね。ただこれも文化の違いってあるのかもしれませんな。

20170812_151005_p1020192 最後、高松空港で最後の讃岐うどんを食おうかと思いましたが、やっぱり無理でした。代わりに高松空港にある出汁の出る蛇口から注いだ出汁を一杯いただきました。これで呉からしまなみ海道を渡り四国を回った旅は終わりであります。

 やっぱりね。日本ってすごいなあと思います。ちょっと離れただけでこれだけ風景が変わり、そして食べ物が変わる。海外の旅も異文化を味わうって意味では面白いですが、文化の差が大きすぎて気が付かないで見過ごしてるものもいっぱいあるのでしょうな。狭く深く分け入っていく日本の旅、面白いものであります。

 長くなりました。今度はたぶん自転車の話です。たぶんです。

2017年8月25日 (金)

広島からしまなみ海道を渡って四国を巡る⑥ 道後温泉侮りがたし 道後ややの朝食に感動する

さて。香川に移動する前に、「道後やや」の朝食に言及せねばならんのです。「道後やや」の朝食は、すごい。「道後やや」は小規模寄りの中規模ホテルであります。道後温泉にあるにも関わらず、大浴場はない。朝食をとれるダイニングはあるけど、レストランはない。

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ところがですね。この朝食ビュッフェが素晴らしい。まず見た目ですが、いい意味でキッチンのモデルルームみたいにすっきりしてます。そんなに広いわけではありません。が。棚に食器がずらっと並んでいる。普通はこういうことはしません。効率よく回すために、大皿小皿の違いはあっても同じ皿や器を重ねておいてあります。ここは砥部焼を使って形やテイストをある程度は揃えてはいるものの、自分の気に入った器を選べるようになっているんです。

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そして料理なんですが。よくソーセージやらスクランブルエッグやらハムやらが山積みになってますよね。スパゲッティサラダとか。ここでまず目につくのが野菜。少量ずつなんですが、いろんな野菜が並んでいます。野菜だけで25種類。しかもそれがありきたりの野菜じゃない。缶詰のコーンでお茶を濁しているんじゃないんです。地物の新鮮な野菜をカットして揃えている。ありきたりのサラダじゃない。果物も12種類。例えばスイカだけで品種を変えて4種類。小さくカットしているので少量ずつ食べ比べることができます。

 子供にゃわからんかもしれんし、野菜嫌いにはわからんだろうと思いますが、野菜好きにはこれはたまらんですよ。朝からね、脂ぎった安いくず肉で作ったソーセージを詰め込むんじゃなくて、新鮮なサラダ、丁寧に作られたお惣菜、例えば冬瓜とオクラの酢の物、だとか南瓜のそぼろ煮だとか。そういうレベルのお惣菜が選べます。

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朝ですからね、ジュースも飲みたいね。って言ったら、みかんマシーンと書かれたフレッシュジュースマシンが置いてあります。種類はよくわかんないですけど、甘夏なのかな。それを三つほど投入して目の前で絞る。このジュースもビュッフェなんですよぉ。

 確かに高級ホテル、シェラトンとかインターコンチネンタルとかの朝食ビュッフェは美味しいし、豪華。だけど、これデブの元だろ、というか、そこまで欲張って食うなよって感じがするくらいたくさんの料理が並んでますよね。それはそれで素敵なんですけど、毎朝朝食に3000円以上かけて、ほんのちょっとだけ食う、とかやってらんねえよ、的な感じはあるんですよ。好きなんですけどね。優雅な気分になれるから。まあでもそれはそんだけのお金を出すからであって、しかも優雅であるためには元を取ろうなんてびんぼくさいことを考えてはならず、つまりはウチのような小銭使いの過程においては、かなり背伸びしてるわけなんです。

 それに対して、道後ややの朝食。これはね。豊かな食事ですよ。早割を使えば、お一人様朝食付きで12000円程度。ランチビュッフェを2000円で提供してますから、朝食にも2000円くらいはやっぱりかかっているのかもしれません。2000円の朝食も安くはない。でもね。豊かさを維持しつつ、高級ホテルの、あの欧米人の方向けというんでしょうか、圧倒的な量は、やっぱり多いかな、と。つうかなんというか道後ややの朝食は、ええい要するにカワイーというやつですよこれは。それに食べて気持ちがよい、胸やけしない食べ物。これですよこれ。

 あ、ソーセージやハンバーグ、オムレツなどを食べたい場合は、オーダーすると焼きたてを持ってきてくれるシステムになっております。そのほか、このコンセプトでなぜこれを入れた、というものもあります。カレーです。そういいつつ少量とはいえつい手を出してしまいましたので、やはりカレーは強いということでありましょうか。

 道後温泉、侮りがたし。やはり古くから人気の温泉地。常に磨いていかなければ生き残れない、ということなのかしらとつぶやきつつ、道後を後にしたのであります。

 さて香川に向かいます。実はこれが今回の旅の隠された目的。古民家宿に泊まる。これです。最近はやりの古民家宿というのは、人が済まなくなった古民家を丸ごとリフォームして、一軒まるまるを宿として貸し出す。貸別荘みたいなものです。だだ貸別荘と違うのは、村の中にある昔ながらの家ですから、あたかも山村の一部となったような感覚が味わえます。

 さて、今回泊まることにしたのは、「桃源郷祖谷の山里」というところ。地図を見ても四国を貫く四国山地の真ん中にあると言ってもいい。かなりの山里であります。松山市からの移動で3時間ほどかかります。朝、ホテルで食事をしたら昼食は山の中。お店あるのかなあ。まあなきゃあないで、そこらで売ってるものを食えばいい。とりあえず向かいます。

 祖谷の山里、ウエブサイト見ると本当に周りになにもない山村らしいです。店がないので、食材は持ち込んで下さいね、お酒も売ってる店がないですよ、てなことを書いてあります。都会の人は、そうはいってもコンビニくらいあるんでしょう、とかスーパーに行けばいいじゃんとか、そう考えるでしょう。甘い。甘々です。田舎の人がなにもないと言う場合は、本当になにもない。お店という概念から変えなきゃいけないような小さなお店が一つ二つ。しかも、それすら夕方には閉まってしまう。日が暮れたら漆黒の闇、それが山の中。本当の田舎。

 映画「君の名は」の舞台となった田舎は、お祭りだったこともあって、人がたくさん描写されてましたが、あれは物語だからそうなんであって、ほんとの田舎は人がいない。中でも若者がいない。私はもともとが田舎の人間なので、店がないと言われたら、あらこれは一大事、と覚悟をして買い物をします。

 とはいえいつものキャンプと違って、クーラーボックスを持っているわけではないので、ビールや氷を持っていこうと思ったら、できるだけ近場で買いたい。祖谷村はともかく、そこに至るまでの国道32号沿い三好市大歩危(おおぼけ)という分岐点、ここ辺りにスーパーがあると聞きました。JR土讃線の駅もあるしね。ここなら何とかなるかな。

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はい、田舎を舐めてました。田舎人としての感覚を鈍らせておりました。長い都会の生活の中で、都会の色に染まってしまいました。申し訳ございません。ヨークマートもイオンもねえです。個人商店がスーパーの看板を掲げているだけで、それも谷間の立地にあるもんだから、そもそも駐車場もない。2台くらい置けるスペースはありましたけどね。しかもそこまでして入っても、ここビールはあっても氷とかないだろう、と。いや、宿に冷蔵庫はあるんですが、私は氷をたっぷり入れたレモンサワーが好きなんですよ、と。古民家で氷たっぷりのレモンサワーを飲みたいんです。

 ああ、ダメだ、店を探そう。と言っても、そもそも尋ねる人がいない。人が歩いてないから尋ねることすらできんのです。このまま祖谷の里方面に向かったとしたら、ますます山の中に入るわけですし、そもそも大歩危で買い物をした方が(まだ)いい、ということですから、要するになにもないわけですよ。

 さっきまで通っていた国道32号には、少なくとも1時間くらいの場所に店らしい店はありませんでした。となれば、国道32号を更に進んで、まだ見ぬ土地を探しましょう。三好市街まで行けばコンビニくらいあるでしょう。

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結論を言うと、市街まで行く必要はありませんでした。大歩危駅から2kmほど離れた32号線沿いでセブンイレブンを見つけました。ここ、どうやらラフティングやらの基地になってるらしく、モンベルのショップや徳島ラーメンの店などもあり、この辺りの雰囲気とは隔絶した施設であります。

 大歩危駅から1km程度のところに道の駅もありますが、こちらは日用品などはあまりないので、買い出しに行くならセブンイレブン、ただし肉や野菜はないので、大歩危のちびスーパーに行くしかないのかな。わからんです。とにかく、氷と酒を補充できたので一安心。祖谷の山里に向かいます。

 途中に「祖谷(いや)のかずら橋」という観光名所があります。かずらで作った吊り橋という、なんともそそられるものですが。怖がりなウチの奥様が渡れるとはとても思えません。しかし、その風情はとても味わいのあるもので、せっかく近くまで行くんだから渡らないわけにはいかない、とお決めになられているようです。ならば良し。行きましょう。でも渡れるのかしらねえ。

 祖谷のかずら橋は、祖谷村にあります。でね。大歩危からかずら橋までは、また一車線もないような細い道が続くのですが、かずら橋に近づいた辺りで、いきなり道が広くなります。で。かずら橋にはどっかのショッピングセンターのような大駐車場があります。何百台かは入れそうですな。うん?これだけの人が来る観光地。かずら橋にそれだけのキャパがあるのかしら。等と思いつつかずら橋に向かいましょう。

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ほうほうこれがかずら橋。かずら橋に並行して立派な橋があります。この橋を渡ってかずら橋の入り口に向かい、かずら橋を渡って戻ってくる。そういうコースですな。渓谷を渡るかずら橋、いい雰囲気です。それにしても観光客が多い。で、橋を見ると数十人が橋に乗っております。ちょっと待てよ、と。吊り橋だよなあ。吊り橋って、そんなに人数乗っても大丈夫なもんか。かずらだよ。植物のつたでかけられた吊り橋。せいぜい乗っても5人とか。この人数は尋常じゃねえ。これは。

 はい。想像通りです。ワイヤーで張られた橋です。芯に太いワイヤーを通し、それを囲むように葛で巻いてます。うーん、つまり観光名所ですわ。そりゃそうだわー。こんだけいろんな人が通る橋を葛で作るわけがない。保たない。危ない。脚元がすかすかして怖いっちゃ怖い。けども左右のガイド綱がとても強度が高く、揺れない。普通の吊り橋よりよほど強度を上げてます。

 

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まあでもね。吊り橋の下には吉野川支流の祖谷川が流れ、緑濃く、それは爽やかなわけですよ。何よりも安全であります。奥さまもねびびりながらも、周りでサンダルのお姉ちゃんが歩いてるのを見ながら、余裕を見せております。楽しいアトラクションであります。家族やカップルできゃっきゃうふふとするにはいい場所です。祖谷川に下りて川遊びをすることもできますが、油断すると急流に流されて死にます。田舎を舐めちゃいけません。

 さて。今夜の宿に向かいます。夏の旅の話、あと1回で終わります。

2017年8月21日 (月)

広島からしまなみ海道を渡って四国を巡る⑤ 道後温泉はまさに迷路

まだ松山市についてません。今治あたりをうろちょろしてます。

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今治と言えば、焼き豚玉子飯。ではなくてですね。最近では今治タオルが有名になりました。ブランディングの成功例であります。今治タオルと同レベルのタオルを作ることができる工場はほかの地域にもあるのでしょうけど、それをブランドにすることができるかどうかってのは、大きな違いですな。ということで、奥さまがぜひ今治タオルを買いたいと。今治に行く、とおっしゃいますので、ここは行っておくべきです。今治タオル本店。

 いやしかしね。本店ってなに、と多少ものを知っていると考えます。つうのは申し上げましたように、今治タオルというのは地域ブランドです。今治の100以上もの工場が集まってブランディングしました。(株)今治タオル、って会社があるわけじゃないです。本店も何も、って感じですよね。ところがつまりこの本店って売り方自体がブランディングであるわけです。

 資金をどう動かしてるのかは存じ上げませんけどね。今治にあるタオル業者さんたちが独自の規格を作って、それに沿うものを今治タオルとしてブランド付けして、売る。消費者には個々の工場、会社から買うという意識ではなく、今治タオルというものを買っていると認識してもらう、そのためには「本社」というネーミングが必要だったのでしょうね。よく練られた戦略であります。調べますと、元博報堂のプロデューサーが立ち上げにかかわられたようで、さすがであります。

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というわけで、今治タオル本社。ショールーム、という感じですが、おそらく数えきれないほどの商品群からセレクトされた製品が並んでおります。白いバスタオルだけで何種類あるんだろ。こんなにたくさんの種類の白バスタオルいるのかな、と感じますが、これも今治タオルの成り立ちを考えれば納得です。100の工場全てがバスタオルを作ってるわけではないでしょうが、何十社かは作っているでしょう。それぞれの特徴をもって、得意を生かしたタオルを作っている。ふむ。となると、ただ見て選ぶというよりは、どんな特徴があるのか判って買ったほうがお利巧です。そのために店内にはタオルソムリエなる店員さんがいらっしゃいますので、ぜひ違いを聞いてみましょう。せっかく今治まで行くのですからな。

 ブランディングとともに高品質を規格化したタオルですから、お値段もそれなりに高くはなりますが、どうにも手が届かないというものでもない。ちょっとした贅沢感があり、自分で使うためのお土産としては悪くない選択です。

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というわけで、ハンドタオル6枚、タオルケット2枚、フェイスタオル6枚ほどお土産に買いました。が。タオルケット2枚は大きいよね。これ持って帰るの、いやだよね。うん、そこはね当然このご時世なんでね。発送してくれます。送料もかかりません。いくらから、というのはよくわかりませんけどね。これなら荷物になりません。ちなみにこちらのフェイスタオルは600円程度。お手ごろです。

 ちょっといいタオルを今治で買った。んー。なんか豊かな気分になれます。これすなわちブランディングの勝利でありますね。

 さて。松山市行くぞ松山市。正確に言うと、向かうのは道後温泉であります。道後温泉には道後温泉本館という夏目漱石ゆかりの由緒あるお風呂があります。近いところでは「千と千尋の神隠し」の湯屋のモチーフともなったなどと言われておるそうな。ふむ。行きましょう行きましょう。

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お泊りは「道後やや」という旅館であります。当然、奥さまセレクテッドでありますので、どんな宿かは行ってからのお愉しみであります。でもね。最近は本当に車の旅行も楽になりました。カーナビに電話番号を入れると、ほとんどのお店は設定されますしね。「道後温泉やや」も一発です。ラクチンラクチン。

 ええ。前振りです。ラクチンなんてとんでもねえ。ナビ、悪くねえです。道後温泉の町が度はずれてます。なにしろ古い温泉街です。狭い地域に大きなホテルがひしめき合って建っています。昔ながらの路地が入り組んでいて、「やや」も入り組んだ路地の中にありました。おまけにね。街のリニューアルを進めているんでしょう。ナビの示す路地が、ええ本当に路地なんですよ、路地が工事中で車が入れない。かといってバックして戻ることもできない。そもそもここは走っていいのかというほどの狭い路地に車をねじ込むように入っていきます。半分泣きそうです。これで行き止まったら完全に固まるぞ、みたいな悲壮感。

 ああ、だからもうナビは何の役にも立たない。ぐるぐると路地の中を走り回って、ようやく「道後やや」のそばにいるらしい、というところまで来ました。何もない路地の角にひょろっとしたお兄ちゃんが立っておりまして、頭を下げてこっちこっちと招いております。「道後やや」のスタッフの方でありました。ややの駐車場に向かう道がまたどん詰まりの路地にしか見えなくて、みんな迷うんでしょう。案内としてずっと立っているようでありました。もうね。絶対ここを出たくない。つまり出立の時まで、この駐車場を出したくない。そう強く決意しましたよ。

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さて、「道後やや」です。小さくはないですが大きすぎもしない。新しい、少なくとも割と最近にリニューアルしたようなきれいなエントランスです。エントランスには蛇口があり、蛇口をひねると、はいミカンジュースが出てきます。愛媛の家の水道をひねるとみかん汁が出てくるというネタを現実化したサービスです。実際美味しいミカンジュースでした。


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さて、お部屋。なんというか面白い構造です。普通、寝室になる窓際にトイレとお風呂を配置してます。そのため手前の居室が暗くなります。くらい居室は3畳ほど、その横にセミダブルベッド2個を並べた寝室があります。ちょっと穴倉っぽい感じです。昨日泊まった尾道国際ホテルよりベッドははるかに広いので、それは良し。手前の3畳あるかないかという居室は、むしろいらないのではないか、という気はします。まあでも、おしゃれに作ってるので許します。トイレもお風呂もきれいですし。

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と言っても、お風呂は使うかどうかわかりません。なぜならば、風呂は道後温泉本館に行くからです。よし、風呂に行きましょう。ねえ。そのために来たんですから。道後温泉本館は、「道後やや」から歩いて10分かかるかかからないか、途中の道も温泉街のアーケードなので、飽きません。かなりの人であります。この調子でいくと、道後温泉本館もそれなりにねえ。それなりに。


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いたーっ。並んでます並んでます。普通はこんなところで風呂に並ぶなんてことはしないんですが、松山まで来て、道後温泉まで来て、道後温泉本館に入らないなんて選択肢はないでしょう。ということで、並びます。道後温泉本館のシステムですが、一律料金ではないんですよ。コースはまあいうたら、特上、上、並の三つがあります。が、特上は皇室の方用のお風呂、今は使われてませんから気にしてもしょうがない。つまりまずコースは上と並がある、と理解してください。上と並ってのは、私が言い換えてるだけですんで覚えちゃだめです。

 上と並は風呂場の違いです。と言っても風呂自体のつくりは大して変わんないですが、料金が高い分、上の風呂のが空いてる、と思ってください。実際広さは並の方が広いです。正確には並には同じつくりの浴室が二つある。上の風呂は「霊(たま)の湯」、並の風呂は「神の湯」と言います。

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更に上と並、風呂が終わった後、それぞれお休みどころが2コースあります。松と竹、にしましょうかね。上の松は3階個室、上の竹は2階大広間、並の松は2階大広間、並の竹は階下といって浴室周りで勝手に休め的な扱いです。ちなみにお値段は上の松(霊の湯個室)が1550円、上の竹(霊の湯2階大部屋)が1250円、並の松(神の湯2階大部屋)が840円、並の竹(神の湯階段下)が410円、ということになりますわ。お風呂の湯が同じで、休みところの違いだけなら、安いほうに入ればいいじゃん。うん、それ毎日のように入る人はそれが正解。

風呂は昔ながらのものですから、洗い場と浴槽があるだけのごくシンプルな石造り。写真は撮れねえです。撮って撮れねえほど警備が厳しいわけではありませんが、撮影禁止のところで写真を撮ってブログに上げたら、炎上間違いなしです。やんねえですよ。道後温泉本館の入浴時間は1時間(松の上コースの場合80分)ですが、十分ですね。身体洗って、湯につかり、ちょいと汗が引くまで休むだけですから。

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上のコースはお休みどころでお茶が出ますけどね。別に400円もするようなもんじゃない。でも状のコースを選ぶとタオルも貸してもらえるし、浴衣も貸してもらえる。で。昔、「坊ちゃん」の頃もこんなだったのかしらねえ、などと思いつつ風情を楽しむことができる。さらには上のコースを選ぶと特上、つまり天皇もお使いになったとかいうお風呂を説明付きで見学することができる。それはやっぱり観光としてありだと思うんですな。観光で行くなら、上の竹以上、できれば上の松(霊の湯、3階個室)コースをお選びになることです。

 道後温泉本館が終わりましたら、適当にどっか近くで飯を食うことにします。この辺りは本当に温泉地の繁華街でありますので、お店はたくさんあります。しかし逆を言えば、観光客向けに特化したお店ばかりともいえますな。面白味という意味では、今一つ。私は近くのお寿司屋さんに入りましたが、うーん。普通。あえて特筆すべきこともないので、今宵の飯情報は割愛いたしまする。

 明日は香川に移動しますよ。

2017年8月20日 (日)

広島からしまなみ海道を渡って四国を巡る④ はっさく大福は至高である

さて。実は尾道に来たのにはわけがある。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私は趣味で少々ロードバイクを嗜んでおります。で、ですなあ。ロードバイクの世界においては、広島県尾道市から愛媛県今治市までを、島々を結ぶしまなみ海道という道が大変有名でして、一度は走っておきたい、という聖地であります。

 ここまで来たら、そこは通るだろう、と。瀬戸内の海と島を堪能しようじゃないか、ということであります。が。自転車では走らない。この時期に日差しの下を自転車で走るのは、どっか頭のネジが外れた自転車脳の方だけです。私は、エアコンのきいたレヴォーグで、長く連れ添った奥さまと穏やかな会話を楽しみながら、風景を愛でますよ、と。

20170810_084340_p1010973 そんでですね。最初の目的地は因島であります。なぜ因島か。それははっさく大福の店、はっさく屋があるからです。なんでも大福の中にはっさくを入れたという、なんてえんですかね、気をてらって話題作りをねらったあざとい大福があると言います。自転車脳の皆さんがテンション上がって、「んなところまで来て食うはっさく大福、超うまい」などと騙されております。和菓子の中にはっさくってねえ。全く。しかし、記念ですからね。行きつけの自転車屋マスコの親父さんも、ぜひ食えなどと言っておりましたからね。まあ、記念にね。言っておきましょうかね。

 はっさく屋は因島南インターチェンジを降りて、寂しい田舎道を15分ほど走った因島大橋記念公園という寂れた公園の中にあります。色気のない公園管理事務所のような建物にはっさく屋の看板がありますが、こんなところでまともなものが売ってるわけがないだろう、と。ねえ。人影もないし、人家もない。とりあえず、管理事務所みたいになってますし、トイレもあるし、入りましょうかね。

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がらんとした店内に一人、自転車乗りがぽつんと座っておりますね。あらあら、このくそ暑いのにきみも騙されてきちゃったのね、と。まあね、しょうがないからはっさく大福でも食いましょうかね。イートインスペースはちゃんとあるし、お茶もお水もフリーでサーブされてますしね。まあね、ほら因島大橋も見えてますから、記念写真撮って。まあ期待もせずに一応食いましょうかね。


 

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う。う。うおおおおおおおおおっ。なんじゃあこりゃああ。中のはっさく、ぷりっぷりじゃないかあっ。なにそれにこの爽やかな甘さ。もっちりとした薄皮自体にも甘みが付いてるけど、はっさくの周りにも薄く白あんのようなものが付いているのかな、そしてはっさく。はっさくって実の中の粒がぷりぷりしてるのね、それで中のジュースが爽やかで甘い。これが餅と一体化して。ぐにんと伸びた餅の中に餡とはっさくが絡み合ってジュースがより豊かになる。これはああああっ。なんだこれは。イチゴ大福なんか目じゃないぞ。1個と言わず23個と食いたい。お土産にしたい、買いたい。誰かに食わせて自慢したい。

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お姉さんにどのくらい日持ちするか聞きます。要冷蔵で1日か2日だそうです。そうだよなあ。中、はっさくだもんなあ。冷凍は無理だし、冷蔵だって、何日ももつもんじゃないよなあ。なんか悔しいなあ。悔しいからもう1個食ってやれ。今度は隣に並んでいたぶどう甘夏大福です。これもレベルが高い。甘夏を挟むようにしてマスカットが並んでいて、マスカットのすこし固い皮をかみ切る食感もまた爽やかで。ううううううううままあああいいいいいいい。

 反省しました。私は地域で頑張る人の思いを舐めていました。申し上げます。はっさく屋のはっさく大福は、フルーツ大福の王様、いや帝王であります。食うべし。その後調べましたら、東京でも銀座や丸の内のサテライトショップで購入できるようであります。食うべきです。ただし一つだけ申し上げますが、はっさくは季節のフルーツですので、食える時期は限られております。8月中旬でいったんシーズンが終わり、再開は10月中旬からとなっておるようですので、ご確認ください。あ、全国発送もしてるようですよ。そのうち取り寄せちゃる。

 はっさく大福だけで今回のブログが終わりそうな気配もありますが、そうはいかない。もう一つ二つネタを入れねば。

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そのほかの島々にも興味はありましたが、実はこの日は松山市まで行く予定。ほかにも立ち寄りたい場所があります。行ける島はもう一か所くらいか、とガイドブックを眺めておりましたら、しまなみ海道の最後の島、大島に村上水軍博物館という施設を発見しました。少し前に「村上水軍の娘」という小説が話題になっておったようですが、瀬戸内と言えば村上水軍。週刊スピリッツでも連載しておりますので、若干の予備知識がある。予備知識があったほうが、観光は面白くなります。よし、行こう。それにこの博物館の近くから、船に乗って瀬戸内海の潮流を眺めることができる潮流体験というアトラクション11000円でやっております。これもいいな。うん1000円だから大したことないかもしれないけど、船に乗れるの、いいかもな。

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よし。ウェブで調べると、9時、10時、11時と1時間おきに船は出てるようです。今ちょうど10時を回ったところ。こっから高速に乗ると、うまくすると10時の船に乗れるぞ、と。よし。

 計算通りに、11時前に潮流体験の船に乗ることができました。結構立派な船です。乗船時間は40分ほど。奥さまは船酔いを心配していましたが、まあ瀬戸内の海は波がないと言いますし。大丈夫でしょう。ねえ。

 最近はどんな船に乗るにつけても救命胴衣は必須となっておりますが、これねえ。暑いときは暑いですよね。いやだなあ、でもしょうがないよなあ。そんなことを考えておりますと、船が出発します。お盆前の平日ですからお客は少ない。ちょちょいと行って帰ってくる感じかあ。ねえ。潮流だもんね。こう海の色が変わってるあたりを遠くから見る感じだよねえ、きっと。うん。

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おおおおおおおおっ。船、速い。モーターがぶん回っているぞ、おい。船首が持ち上がっているもの。暑くねえよ。風がどんどん入ってくるもの。爽快じゃん。でね。なんか海を見てると、色ってえか光り方が変わっているところがあちこちに見えてきます。おおほら、あのあたり、きっと流れが速いのよ。ほら見てごらん。

 エンジンがどどどどって唸りながら、島のほうに寄っていくとね、文字通り、流れているんですよ。潮が。それもですね、島の突端を境として、手前と奥とで海の高さが違う。奥から潮が流れてきて、岩にぶつかり、落ち込んでいく。音を立てて流れ続けてるんですよ。そこかしこで渦ができている。海の底の岩にぶちあっ立った潮が噴き上げて海面が膨らんでいるところ、潮が渦を巻いて空気を引き込んでいるところ、島と島の間の流れと、手前で流れが違う。

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これは、とても素人が渡れる海じゃない。泳げるもんじゃないし、船だって、思う方向に進むためには島の流れが分かってないと動けるもんじゃない。ああ、これか、だから水軍なんてものがいたんだ。この流れを乗りこなして、小さな島々に城をこさえて、暮らしを築いていったんだ。ああ、なるほどなあ。

 このアクティビティ、単に「潮流体験」なんて言葉で片づけるのがもったいない。まあいい言葉が思い浮かばないんですが、秩父の激流下りなんかと同じように迫力があり、加えて歴史の重みがある。瀬戸内、深いなあと感じ入りました。ここを体験した後で、村上水軍博物館に行きましたがね、またそこで深めることができる。この二つ、両方を体験するのはお勧めですな。

 ちょうど12時、そろそろお腹も空きました。ここで海鮮丼を食っていくのも手ですが、少し先はもう四国愛媛県今治市です。そして愛媛県と言えば、また独特のB級グルメがあるのであります。それが愛媛の街中華で提供される焼き豚玉子飯であります。

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今治市大黒屋さん。見るからに街中華です。中では働くおじちゃんたちが黙々とどんぶり飯を食らっております。それがおそらく焼き豚玉子飯。簡単に言うと、丼飯の上に焼き豚を乗せ、更に目玉焼きを2個。甘辛の醤油ダレをぶっかけて出来上がり。これをぐちゃぐちゃにかき混ぜて食らう。色気もなんもねえ。白飯にチャーシューと目玉焼き乗せただけじゃん。なんか殺風景だよなあ。

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多分そのイメージと違うのは、たれの量でしょうか。混ぜるとご飯の色が完全に変わるぐらい、しっかりとたれがかかってます。たれダクの鰻丼をイメージするとよいかもです。そこによく煮られてほろほろになったチャーシューが混じり、目玉焼きの白身、黄身、が色身にアクセントをつけ、更にはお好みでネギを散らします。このねぎは関西より西でよく使われる万能ねぎ、青ネギでありますな。それやこれやで、あまり上品な見た目ではありませんが、旨そうなB級食が出来上がるわけです。

 ただし。相当に味が濃いです。加えてカロリーも相当な感じです。女子がちょいと食べに入るという感じではありません。甘辛もくどいっちゃくどい。やはり働くおじちゃんの男飯、なんでしょうな。カロリー万歳な野郎の皆さんは是非お試しください。

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ところで、埼玉県地産のスーパーマーケット、ヤオコーさんにはこんなものが並んでました。みなさんのところで扱ってるかどうか知りませんけど、おうちで試してみたい方は探してみてはいかがでしょう。

2017年8月19日 (土)

広島からしまなみ海道を渡って四国を巡る③ 瀬戸内の海が男を鍛え上げるのだ 尾道

尾道。尾道と言えば尾道三部作。尾美君がああ。あの茫洋とした表情が好きでねえ。おじちゃんには最近のイケメンばかりが主人公の映画は、どうもねえ。ああ、それは女子でも同じでね。そんな美男美女ばかりの現場があるもんか、ってドラマは、観ていて小っ恥ずかしくなっちまって、まともに観られないんですよ、と。

 ま、それはともかく。

 今回、尾道はメインテーマではないです。これがサイクリング目的であれば、しまなみ海道の入り口としてもう少し突っ込んだことも言えるんですがね。ゆえに下調べが甘い。故に楽しみ方がよくわかってません。とりあえず、アレ、すなわち尾道ラーメンは食っておかねばなりますまい。

20170809_140450_p1010924 ということで検索検索ぅ。尾道ラーメンという分野の先駆的立場にいたお店、朱華園。尾道の繁華街のハズレにあり、お店の駐車場はありません。街中にコインパーキングがありますんで、そちらを利用することになります。

 さすがに夏休み中と言うこともあり、ちょっとした行列ができています。行列ができる店に入りたいわけではありませんが、こちらが尾道ラーメンの元祖というならば、いうならばあ。そりゃあ入ってみるしかないですね。並びます。

 えーっとですね。尾道ラーメンです。これからはなはだ不当な発言をいたします。朱華園のラーメンは美味しいですが、尾道ラーメンとしてみれば普通です。ああっ。なんて非道な発言でしょう。いや美味しいんです。普通に。普通に美味しいんです。これは困った。

20170809_142649_p1010926 朱華園さんが尾道ラーメンの元祖というか、一つのスタンダードを作り、それはこれ以前になかったラーメンなわけです。それゆえに尾道で中華そばとして提供していた朱華園さんのラーメンを観光客が尾道ラーメンと言い出した。ちなみに朱華園の中華そばは鶏ガラベースに背脂を控えめに浮かせたものです。世間的にはいりこやあごなどの魚介出汁を加えたものが、尾道ラーメンのイメージですが、これはお土産物屋さんが「尾道ラーメン」として売り出したものだそうですよ。

 ふむ。でね。美味しい朱華園さんですが、元祖と言うだけに、ここをベースに、あるいはインスパイアされて、関東でも尾道ラーメンを提供するお店は少なくありません。ゆえに、朱華園さんのより特徴的だったり、旨みが強かったりするわけですよ。後出しじゃんけんな訳ですから。

 ですから、朱華園さんの中華そばを食するときには、その行列をもってすんごく美味なラーメンであると期待するのは間違ってます。ちゃんと作った普通に美味しい地域のラーメンです、と。行列は不要です。そう言いつつも、自分が並んでしまっておりますからなあ。人というのは矛盾したものです。

 さて。尾道ラーメンを食しましたらば、尾道観光をいたしましょう。ここはやはり尾道三部作のロケ現場となったあたりの家並みを散歩する。尾道三部作と言っても、最近のお若い方にはおわかりに並んじゃろうのう。ふぉっふぉっふぉ。

20170809_151504_p1010938 朱華園からそれほど遠くないところに、千光寺山ロープウエイがあります。山の上に建つ千光寺、更にはその門前町が斜面に沿ってあります。こちらは映画「転校生」などの尾道三部作のロケ現場となったところですが、映画を知らなくても、この山には上ったほうがいいですぞ。ロープウエイで上って、歩いて下りてくるのがよろしい。山上の千光寺にお参りをして歩いて下ってきますとね、眼下に尾道の町と瀬戸内の海と島々が広がります。これから行くしまなみ海道への期待が膨らんでくると言うものです。

 さて。観光はこの程度で。今日の宿に向かいます。今日の宿は尾道国際ホテル。ほう、立派なホテルやなあ。

20170809_160746_p1010949 あのですね。日本の旅館、まあ民宿もそうなんですけど、夜のご飯がセットになってくるところが多いですわね。昨日の島宿あこうもそうです。てかそれを食いに行った訳なんですが。ところがですよ、そういう立派な食事は一日ならいいですが、毎日続くととても食い切れないし、飽きる。もっと淡泊な食事がしたいなあって選択ができないのは辛い、と。

 これ最近の外国人旅行者を受け入れるときにも大切なことですよね。いくら日本の風情を味わう食事ったって、毎日が旅館の夕食ってのはキツい。やはり宿泊はホテルで。夕食はいろんな選択肢があるという、そういう形がよろしい。というわけで、二日目はホテルです。国際ホテルですからね。いっちょまえのホテルのはずです。

20170809_161413_p1010950 えーっと、うんここビジネスホテルだね。ああしかもクイーンサイズのダブルベッド。まあダブルベッドはいいんだけどさ。小さいよね、二人で寝るにはね。まあね。しかたないね。自分で選択したんだもんね。きっともう少し広い部屋で広いベッドの宿もあるんだろうけど、予算の都合でここにしたのよね。うん。ビジネスホテルとしては上等よ。うん。

 ビジネスホテル的なサービスとして、近くのスーパー銭湯での無料入浴券が付きます。ビジネスホテルの狭いユニットバスよりそっちに行く方がいいね。

20170809_172734_p1010951 ここで豆情報。私が普段行く「ふるさとの湯」だとか「花和楽の湯」とかですがね。それぞれに客層があり、ふるさとの湯でしたらば近所のじいちゃんやおっちゃんが常連としており、花和楽の湯でしたら230代の若いお父さんが家族サービスで、的な感じがアリ。どちらにしてもおっちゃんがほっとするのはですね、みんなオジサンなんですよ。体型が。肉付きがよろしい。そうですね、進撃の巨人というコミックがありますが、そこに出てくる裸の巨人。手足が細くて腹が膨らんだ貧弱な体型をしている。こういうオジサンがいっぱいいるわけです。そうしますとね、おじちゃん安心するですね。ああ、俺は衰えてきたけれどもなんだ世の中見ればみんなそうじゃないか、じいちゃんがビヤ樽になっているのも当然だし、若いお父さんも裸になると腹が出てたるんでるじゃないか、と。

 ところがですよ。この尾道のスーパー銭湯ぽっぽの湯。こちらね、みんな異様に身体がいい。まずおじちゃんたち。腹は出てるんですが弛んでない。腕が太く僧帽筋もがっちりとして、ごっつい。若いお兄ちゃんたちの集団もいたんですが、かれらがまた何者?ってくらい引き締まってる。格闘技とは違うし、自転車乗りともまた違う。ジムで鍛えたような身体ではない広い広背筋、締まったウェスト、呉だったら自衛官かな、とも思いますけどね。尾道だったらなんだろう。漁師さんかな。いやしかし。

 というわけで、尾道の男たちはいい身体をしている。サンプリングbyぽっぽの湯。ぜひみなさん、ぽっぽの湯に行って鍛え上げた男たちの身体を堪能していただきたい。

 さて。晩ご飯です。実はですね。尾道国際ホテルは値段重視で選んだので、駅から少し離れてます。ホテルの近隣は、店もあまりなく寂しいところです。どうしたもんかねえ。晩ご飯。とりあえず外に出ましょう。スーパーでお弁当買ってもいいかなどという甚だ消極的な発想もアリ。ごちそうにちょっと飽きた感があり。ですが。ホテルを出ますと、よくよく見ると、ホテルの周りにはお好み焼きの店だけで3店。定食屋さんやら焼き肉屋さんやら。それなりに揃ってます。

20170809_192432_p1010954 食べログに出る店ではないかもしれませんが、今回は食べログにこだわらない旅。というわけでもないんですけど、まあなんかそんな感じになってます。ですから、とりあえず、ホテルのすぐ脇のお好み焼き屋さん、「鉄板焼き まり」に入ることにします。中に入ると、おばちゃんと、たぶんおばちゃんの息子さんがやってる感じのお店。カウンターの片隅で、お子さんらしき小学生がゲームに興じてます。お客さんの入りはそこそこ。ここもまた地元の店です。

 ここでは尾道焼きをオーダーします。尾道焼きは具材に砂ずりが入る、と。ふむふむ。更に、まりのスペシャルな焼き方として、卵半熟というのがあるそうな。それを頼みます。薄皮にキャベツを載せて、更に砂ずりやらイカフライを割ったものなどを乗せて、更に生地を追加して、ふんわりと返します。ここは呉の「たんぽぽ」と違うところですね。

20170809_194105_p101095820170809_194130_p1010959 そして卵なんですがね。概ね焼き上がったところに、ソースを塗る。その上に溶いた卵をかけるんです。焼き上がった生地の熱で半熟状態になっていく、というあんばいです。これは珍しい。尾道だからやる、ということではないらしいですな。「まり」スペシャルらしいです。ソースの味が勝っているのでこうしたからどう味が変わった、ということはないんですがね。普通の焼き方もできるので、二枚食べ比べると違いがあるかもしれません。でも、なんてかな、提供のしかたというか演出としても面白い、と感じますわね。

20170809_193549_p1010956 もう一つ、「いか焼き」という食い物がありました。イカを焼いたものではないです。まず、珍味でよくあるイカフライ、お好み焼きの具材にも使いますが、こいつを鉄板の上に並べます。ここに水をかけて、蓋をし、蒸し焼きにします。イカフライがふっくらと焼き上がったところにソースを塗って、青のりをかけて食う。と。まさにB級の極み食です。ビールによく合うカロリーです。ウチでも簡単にできますので、ぜひお試し下さい。私はカロリーが怖いのでやりません。

 ということで二日目の尾道、終了であります。クイーンサイズのダブルベッド、あんじょう狭くて、寝返り打つのも気を遣いましたことをお伝えしておきます。

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