海外旅行 台湾編⑤食う(2)饒河街観光夜市
しばらく旅行に行って、ウチについて玄関を開けると、臭いますよね。空気の入れ換えをしていないのでカビ臭いってことがあるかもしれませんわ。でも誰か家に残っていて空気の入れ換えをしてても、やっぱり臭うですねえ。もっとも家の中に入ってしばらくすると、臭いもどっかにいっちゃったかのように、感じなくなるんですけどね。
別にウチが臭いって話をしてるんじゃないですよ。まあ猫がいますから、猫臭いのは確かでしょうけど。つまりね、どの家にも固有のにおいがあるってことなんですよ。
で、だ。家にも固有のにおいがあるように、国にも固有のにおいがありますよね。例えばバリ島だったら、空港に降りた瞬間にもうガラムの匂いが漂ってます。街に出ると、それに加えて多少のどぶ臭さがありますわね。ハワイだったらやたらと強烈な石鹸というか石鹸に入れた香料の匂いがしますわね。日本って外人さんにとったらどんな臭いなんですかね。鰹節?醤油?
台湾だったら、国の匂いってかどこに行っても追いかけてくる匂い、それは五香粉と八角、それに臭豆腐じゃないですかねえ。どこに行ってもとはまた大きく出やがったな。台北、淡水、九份くらいのもんなんですけどね。すんません。知ったかぶっています。いわゆる観光地だけなんですけど、その観光地に出ている食べ物の屋台、まず臭豆腐は外せないみたいです。この臭豆腐、まさに臭い。どんな臭いかって、そんなあなた他のものにはたとえられません。でも死ぬほど臭いかってえとそうでもない。じんわりと臭い、そんな感じです。実はわたし納豆が嫌いなんですけどね、そういう意味では納豆と似たようなもんです。あら、意外とおいしそうじゃないって思う方、いるでしょう? そう、臭豆腐って人気の屋台らしいんですよ。
わたしが行った夜市ってのは、市内で1番大きな夜市、士林夜市(シーリンイエシー)と2番目の夜市、饒河街観光夜市(ラオフージエングアングアンイエシー)だけです。夜市ってのは、だいたい6時くらいから夜の12時過ぎまでやってるらしいんですけど、ほんとに混んでくるのは10時くらいからとか。士林夜市なんて、満員電車みたいな有様らしいですよ。観光客がいきなり行くと、あまりの混み具合に酔ってしまって何もできない、とりあえず饒河街あたりで練習していくとよろしい、みたいなことをガイドブックには書いてます。
つかですねえわたしたち台湾人じゃないんで、別に台湾人の宵っ張りにつきあう必要ないですよ。まだ人が少ない時間に行くとよろしい。というわけでわれわれは夜の7時頃に行きました。それでも結構な人混みですよ。まっすぐなんて歩けないんですから。大人気の士林夜市だってこの時間帯なら、そんなに混んでいませんから、むしろわたしらみたいな初心者には場所よりもおすすめ時間帯を教えてほしいところでしたわ。
まあいいや。
で。士林はすごく混むってんで、まず練習のためにわれわれは饒河街に行くことにしましたよ。ここはですねえ、そうですね、横浜中華街の狭い通りをもっとびんぼ臭くして、さらに道の真ん中に中央分離帯のように屋台をずらっと並べています。夜市の入り口には大人気の屋台、臭豆腐がどんと2,3軒店を構えています。臭いに弱い方、お上品な方はまずここで気持ちの鼻っ柱をばこんと殴られたような気分になります。わたしはお上品なので、殴られました。
そんな状態であれもこれもってもう食えませんや。胸がいっぱいですわ。そんでも有名どころはまず食っておきたい、そのために台湾に来たんですから。で、一番に行ったのが台湾風鶏の唐揚げ「豪大大鶏排」(なんて読むんだ?)です。実はここ、本店は士林らしいんですが、本店は大人気過ぎて並ばないと食えないってんで、並ぶの嫌いなわたしは饒河街で食います。胸肉あたり一枚まるまる揚げて、そいつを機械で3cm幅くらいにカットします。これを紙袋に放り込んで、胡椒と塩、お好みでチリパウダーを振り込んで、できあがり。45元。ちょっとスパイスに癖がありますが、まあ鶏の唐揚げ、旨いです。ただし言っときますが、あえて台湾で食うか、ってえとどうかな。ふつうに唐揚げ食ってるのと変わらないくらいおいしいんで、ふつうにそこらの唐揚げ食えよって話もあります。
で、もしこれが日本の屋台で食っているんだとしたら、普通はもうひとつ、必需品がある。ね。そうでしょう。普通、ビール頼みますよねえ。ねえってば。
ところがここが問題。台湾屋台は基本的にビール扱ってません。げっ。こんなに脂っぽいのに。こんなに塩っぽいのに。ビールなしかよ、って感じです。もっとも禁止って訳じゃないんで、近くのコンビニでビール買って持ち込み、これは問題ありません。しかしねえ、俺は食いもんと一緒に冷えたビールを注文したいんだよ、って普通思いますよねえ。
しかし、この鶏、かなり大きいのでお腹がいっぱいになってしまいます。情けのうございます。せめてもう一品。こうなるとね、あまり怪しいものは試せません。胃のキャパが小さいので失敗してる余裕がありません。そこで、次なる鉄板は「福州世祖胡椒餅」の胡椒餅、これです。
ここの胡椒餅は、だいたいコンビニの肉まんと同じくらいの大きさがあります。生地はナンをもっとしっかりしたような感じでしょうか、ただそれほど厚みがない。中身の餡がずっしりと重い。豚挽肉とネギなどをきざんだものを胡椒を混ぜて、饅頭がはち切れんばかりに入れて包みます。これをですね、やはりナンを焼くような石窯状の釜の中に貼り付けて焼くわけです。一度にたくさんできあがるんだけど、焼くのに結構時間がかかるんで行列ができてます。
焼き上がりをもらって頬張ります。というか熱くて持てんわ。頬張るどころの話かってなもんで。今まで窯の中に入っていたんだもの。そりゃ熱いわ。饅頭をかじるとしっかりした生地の中にすぐ肉の餡が顔を出します。じんわりと肉汁がたれてきて、これが手につくとまたひどく熱い。やけどしますんで、気をつけてね。で、はふはふしながら食うわけです。ああ、ビールがほしい。夜とは言っても台湾ですからね、暑いです。で熱々の胡椒餅を頬張る。汗だくですよ。ああ、ビールがほしい。
というわけで、続きは次回、士林夜市から。
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