35年前に買ったリバーライトの北京を磨いてUNILLOYフライパンを買った話
まず、ユニロイでなくて、35年以上使ったリバーライトの北京鍋の話をしますよ。
リバーライト社のウェブサイト見ると、創業43年って書いてますね。たぶん発売して、そんなに間もない頃から使ってます。まだ若い頃でねえ。というか結婚祝いに友達にねだって買ってもらったものですから、結婚生活=リバーライトと言っても過言ではない。若い、お金のない時代にこんなものを買ってくれた友人に感謝です。今となっては音信不通なのですが、それでも北京鍋を使うたびに彼のことを思い出します。
ということで、みなさん、結婚のお祝いには北京鍋を贈りましょう。
で。リバーライトの北京鍋、鋼板でできてます。だからこそ35年も持っているわけですが、お手入れ方法としては錆を防ぐために、きれいに洗った後、北京鍋を温めて薄く油を塗ります。薄く塗るんですが、35年も塗り続けていたら、薄い皮膜も厚くなります。
あれ、小汚い町中華のお店で、換気扇のところが真っ黒になってるじゃないですか。油が長年の間に樹脂化しちゃったやつ。あれですね。毎回洗っていても少し残っている油分に油を重ねていくわけで、それが樹脂化してこびりついているんです。これは焦げとは違います。
さすがにこうなってくると、熱効率も悪くなってそうだし、美しくない。こんだけ油の樹脂がこびりついていたら、捨てるしかない。いやいや。鉄のフライパンなら再生できるんですよ。一回、樹脂を削り落として、フライパンを磨き、鉄の層を出したところで、再度、油膜を作る、と。そんだけです。簡単です。言葉では。
こないだ、やりました。まあこれが重労働で。まず樹脂が取れない。えー、そりゃもう取れない取れない。ステンレスたわしなんかてんで歯が立たない。クレンザーなんか粒子が細かすぎて問題外。180番の耐水サンドペーパーも無理でした。60番くらいならいけるかもですが、樹脂が薄いところが削れ過ぎそう。結局、金属へら使いました。ガリガリと。力業を1時間以上続けて、更に大体の樹脂が取れたところで、サンドペーパー180番、320番と目を細かくしていって。汗だくですわ。
これね、ここまでの作業は、よほどの根性と根気がないと、買い替えた方が楽です。
でだ。だいたい磨きが終わったら、ガスコンロで色が変わるまで空焼きします。焼くことによって、鉄の表面に酸化被膜を作って錆止めをします。いったん冷ました後、油を入れて熱し、酸化被膜の上に油のコーティングをする。油のコーティングは2,3度重ねた方がよいでしょう。
ということで、これで一応、新品の頃と同じ状態に戻せます。お金があったら買い替えた方が楽ですけど、愛着という点ではなかなか満足感が高いです。空焼きして油慣らしをするこの作業、シーズニングと言いますが、鉄製のフライパンを新品で買ったときに必ずやる作業です。でした。
リバーライトも買ったときはそうして使い始めたんですが、実は今回ユニロイのフライパンの記事を書くために調べていて、おやっと思ったことがあるんですわ。「空焼きをする必要はありません」って書いてあるんですよ。えー。えー。そうなの? それでリバーライトのホームページも見てみたら、おや。リバーライトのフライパンも空焼きしなくていいと書いてあります。おや?
今現在リバーライトで製造しているフライパンは「極JAPAN」というシリーズ、どうやら昔のものとは違うようです。昔の、というか今も多くのフライパンは出荷時に錆防止のために全体をクリアラッカーでコーティングしてます。熱するとクリアラッカーは有害物質を出すので、使う前に焼き切るという作業が必要でした。ところが今の極JAPANシリーズはクリアラッカーでなく窒化処理というのをしているようです。これはそのまま使い始められるコーティングなので、空焼きの必要がありません。進化してる!
35年も経てば鉄のフライパンも進化するんですなあ。しかし今回再処理したリバーライト、また後35年くらい活躍してくれるでしょう。
ということで、最近鉄の北京鍋使うようになってまして、鉄のフライパンもいいなあと思うようになってました。順序から言うと、北京鍋使用頻度上がってきた→鉄のフライパンも欲しいなあ→ユニロイぽちっと→北京鍋きれいにしよう!→ユニロイキタ!です。
鉄のフライパンを買うなら、どうせなら鋳物がいいなあ。もうずいぶん前から「魔法のフライパン」という名前を聞くようになりました。蓄熱性のいい鋳物ですが、問題は重さ。キャンプ用のダッジオーブンとかスキレットとかね。使って行くうちに油が鍋肌になじんで、いいテカリを出してくれます。ただ問題は重さ。スキレットの大きいのなんか、何キロあるんだろう。片手では持てないくらいの重さがあります。いくら良くても、そんなの使う気になれません。
そこで、錦見鋳造株式会社さんが、持てる技術をつぎ込んで、薄い鋳物のフライパンを作りました。それが魔法のフライパン。人気です。あまりに人気過ぎて、26㎝1万円のフライパンが現在納品まで3年6か月待ち。え?
実は楽天やAmazonで、即納で買うこともできます。27,800円で。え?
うん、つまり転売だね。絶対買わねえ。いやいいもんなんだろうけど、別に本当に魔法がかかってるわけではなし、メーカーさんが付けてる1万円なりのちゃんとしたフライパン。転売業者が買い占めて、Amazonや楽天で売る商材にされてます。買っちゃいけません。
上手く使えれば鋳物のフライパン、いいだろうと思います。ただ実際に魔法がかかってるわけではないから、どんな使い方をしても料理がおいしくなるわけではない。薄い鋳物にすることで、軽いというメリットは出ますが、蓄熱性はある程度犠牲になります。バランスの問題。薄いアルミパンよりはずっといいだろうけど、熱周りがいいだろうから、火加減も大事。魔法のフライパンだから27,800円の価値がありますよ、みたいな詐欺商法に引っかかっちゃいけません。錦見鋳造さんも悔しいところでしょうねえ。
で、しょうがない。錦見鋳造さんの技術はすごいけど、そうやって先駆者がいれば日本には他にもきっと技術者がいます。
最近、鋳物フライパンで話題になったのは石川鋳造株式会社さんの「おもいのフライパン」。これは商品コンセプトにもはっきり打ち出されていますが、スキレットほどではないけども、しっかりした厚みを確保した「重い」のフライパンです。これはねえ。いい。いいけど重いよ。日常的に誰でもが使えるかってえと、難しいかもしれませんねえ。だって26㎝で1.8㎏あるんだもの。うちで買ったら、奥さんは絶対に使わないでしょう。
それに17600円とお高めなのに、やはり人気の商品なので届くまで90日待ちです。やめとこ。
他にも鋳物のフライパンはありますが、ほぼスキレット。重さが2㎏を越えるようなものが多いです。やはり、1㎏を下回る魔法のフライパンの技術はすごいですねえ。
ちなみに、ちょっと検討したのがバーミキュラの鋳物+ホーロー加工のフライパン。これはホーロー加工というあたりが、どうしてもデリケートな扱いを要求されそうで、パスしました。
そんな中見つけたユニロイフライパン、1.3㎏。ユニロイというのは燕三条にある三条特殊鋳工所が作った鋳物のフライパンです。正直、今回いろいろ調べてみて初めて知ったブランドだったんですが、決定したのは納期です。1か月半。3年半待ちなんてあり得ないし、90日待ちだっていやだ。ユニロイはまだそれほど知られてないせいか、比較的早く手に入りそうです。ちなみに僕が買ったときは1か月半待ちでしたが、さっき見たら3か月待ちになってました。
みんななんでそんなにフライパン好きなん?
ユニロイのコーティングは魔法のフライパンのような窒化被膜ではなく、シリコン耐熱被膜を使っているそうで、やはり空焼きの必要がないようです。シリコン皮膜は使っているうちに取れてくるそうですが、その頃には油も馴染んで特に問題がないでしょう。たぶん。
この頃、北京鍋とか鉄の鍋を使っていて、しごく当たり前のことなんですが、火加減って大事だなあと思ってます。よく中華屋さんが業務用のガス台でガンガン火を入れているのを見てて、ついつい強火で手早くなんてことを思っちゃいますが、強いだけの火だと焦がしてしまうのが関の山、火の弱めどころ、止めどころをちゃんと使えることが大事なんだなあ。このフライパン、熱の周りが速いため、強火のままにしておくとあっという間に温度が高くなりすぎるみたいなのです。オムライス焦がしました。
温まったら中火、うん。わかったよ。なんでもほどほど。ちゃんと使い方勉強しなきゃだめだね。35年目にして思うのですよ。
ユニロイに早く慣れようっと。
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