親指の付け根に、幅5cmほどの傷があります。子どもの頃に竹とんぼを作っていて、ナイフで切ってできた傷です。左手の人差し指の根本に、2cmほどの傷があります。鉈で竹の枝を払っていて、ごんって切ったときの傷です。
他にもありますがね。
そりゃあ血もどばどば出ますし。痛いし。今思うと、こんだけ切ったら普通縫うだろ、って思いますが、当時は縫う方が怖かったので、逃げ回って結局そのままにしておいたら、傷が残っちゃったんですねえ。でもね。
傷が残ってるから、あのときのことを思い出せるわけです。傷を作るようなことをしたからこそ、刃物の使い方を身につけることができたんです。最近の子どもたちって、ナイフもカッターも危ないって持たせてもらえない。鉛筆一つ削れないし、リンゴだって剥けない。図工やなんかの授業で、刃物で怪我をしたら学校に怒鳴り込む親もいるっていうじゃないですか。全く、どんだけ子どもの可能性を奪ったら気が済むんでしょうねえ。温室でバラの花でも育ててろってんですよ。
まあそれはともかく。そんなわけで、子どもの頃から肥後の守や切り出しナイフはお友達です。肥後の守でね、太い孟宗竹を板状に割ってですね、薄く薄く削いでいくわけですよ。微妙にカーブを作りながら。これがですね、切れ味が命なわけです。ただ肥後の守なんてそんな硬い鉄を使ってるわけじゃないから、しばらく使ってると切れなくなる。こうなると無駄な力を入れるので、危ないわけです。たぶん傷もそんな時に作ったんでしょう。
で。昔のガキどもにとって大切な技能だったわけですよ。研ぐってことが。
親父の研いたナイフは実によく切れた。ところが自分でやると、いくら必死に砥石の上で動かしても切れないわけです。親父、すごいなあ。って思いましたよ。
まあこんな思い出もあるせいか、長じても刃物が好きですね。一時期はナイフを集めようとしたこともありますが。これはきりがないので止めました。きりがないってか、集めると使えないじゃないですか。使えないとなると、持ってるだけですよね。引き出しの中とかに。使えないで存在するってだけなら、わたしの机の引き出しの中だろうと、お店の棚の上だろうと、どう違うって言うんです?
使わない道具に意味はないですな。わたしには。死んだ後に道具だけ残っても仕方ないじゃないですか。まあそんなことを思って、コレクションってことに興味を失いました。
ということで、使う道具、使う刃物の話です。
包丁ですな。道具として一番素敵だなと思うのは和包丁です。日本の食文化に合わせて、実に機能的、実に美しい。です。が。ウチの食文化には残念ながら合わない、使いこなせないです。錆びさせてしまいますね、まず確実に。和包丁の材料である鋼ってのはね、粘り強く切れ味も鋭いんですが、錆びやすいんですよ。手入れを怠ると翌日には錆が浮いています。そんなの、不精者のわたしが使いこなせるわけがない。
となると、ステンレスの包丁ですね。ステンレス包丁と言っても、実にいろんなブランドがあり、作られ方があり、材料があります。もともと鍛冶屋さんがひとつひとつ手作りで作っていたような道具ですから、鍛冶屋さんの数だけブランドがあるわけです。まあ今は工場で作られてるわけですけど。
構造的なものの解説となると、もうこの道には本当に深い方がたくさんいますので、そちらを見て勉強してください。
いくつか普段用の包丁を使ってましたけど、ブランドも構造も材料ももちろん大事なんですけど、一番大切なのはやっぱり手入れだと思いましたね。要するに研がなきゃダメ。どんないい包丁でも研がなきゃ切れなくなります。100円ショップの包丁でも、研げばそれなりには使えるはず、なんですけどね。やったことないからわからんです。つかこんだけの道具を100円で作るってことの意味がわからん。もっと道具を大切にしようよ、と思うです。
ああ、話がずれていく。まあ、いつものことか。
で、偉そうに手入れのこととか言いながら、実は毎日のお手入れは結構雑だったりします。つうのはですね、食洗機。これですがな。食洗機、便利な道具ですよねえ。ま、その本質はそのうち語るかも知れませんが、語らないかも知れません。どうでもいいですけど。とにかく。包丁も面倒だから食洗機で洗っちゃうわけです。
そうするとですねえ。柄の部分が長くお湯や洗剤にさらされるため、腐りやすくなるんですな。なりませんか。いや、なりますよねえ。柄自体は腐ってしまっても交換することは可能です。しかし5000円程度の包丁の柄が腐ってしまって交換するとなると、また3000円程度はかかりますね。どうします?
とりあえず、柄が腐らない包丁はないかな、と思って探しますとね、柄までステンレスでできた包丁がいくつかありましたよ。その中からわたしが選んだのは、吉田金属工業のグローバル包丁です。これデザインも美しいですし、「世界中のプロも使っていると大評判」の包丁です。ちなみに写真のモデルは大きいのがG-46三徳包丁、小さいのがGS-38皮むきです。G-46はつい先日まで海外専用モデルだったのですが、今は国内販売もされるようになりました。
わたしが買ったときは国内正規販売品がなかったので、海外逆輸入品を購入しました。これにはちょっと言いたいこともあります。あのですね。牛刀とペティナイフのセットってのがグローバル包丁のウリのセット、みたいなんですね。でもねえ。牛刀って使いやすいですか?いや、料理の達人の皆さんじゃないですよ。わたしらたまにしか包丁を持たない素人にです。
わたしはねえ、牛刀って使いこなせないです。肉を切るだけって割り切ればいいんでしょうけど、そんな料理ってめったにしないですからね。水菜のおひたし切って、豚バラ刻んで、豆腐も切って、ってなことを一本でやっちゃいますよ。となると牛刀はないだろ、と。ネットのおかげで三徳を購入できましたけど、正規販売すべきものだったんですよ、はじめから。ネットの噂では、嘘か誠かわからんですけど、海外輸出用の製品を重視したので、国内販売用に品が間に合わなかったとか。確かに売れてるらしく、このご時世にどの商品も割引販売をしているショップもないですから、モノが足りないのかも知れません。
まあいいや。今は国内正規販売始めましたからね。
で、だ。機能性ってことで。まず切れ味。これね、買ったばかりの包丁が切れるのは当たり前です。きちんと研いであるわけですから。だからTVショップで、ほらトマトがこんなに簡単に、とかって売り方、ありゃ明らかに変ですよ。ああいう売り方をするモノをかっちゃいけません。ちなみにちゃんとした包丁屋さんで包丁を買うと、その場で仕上げの研ぎをしてくれたりするところもあります。
ま、とにかくグローバルも切れます。問題はこの刃がどれくらい持つか、ですね。正直かなりいいと思います。安いモノだと鋼材が柔らかいせいで、数日で刃先が潰れたりしますが、グローバルはかなりの期間、刃が持ちます。もちろんどの程度料理に使うかで、全く状態が変わるわけですけど。
ただその代わりと言っちゃあなんですが、鋼材が堅いってのは研ぎにくいってことでもありますな。和包丁は研ぐことを前提に作られてますんで、毎日研がなきゃいけません。基本的にはね。洋包丁はそこまでしませんなあ。つかステンレス硬いから、そう簡単には刃先が潰れない。ただ、ほんとうの刃先部分、ここはシャープナーみたいなものを使ってタッチアップしてあげるくらいのことはしたいところです。
ま、よく切れるってのはほんとです。
ところで、購入動機だった、食洗機に放り込める包丁ってことなんですけど。この包丁、食洗機禁止ですって。なんでも柄と刃の接合部分で鋼材が変わってる。この部分と食洗機の洗剤との相性が悪く、錆が発生することがあるんだそうです。ちくしょう。
でもね。実は面倒くさいから食洗機に放り込んでます。錆びたら磨くよ、ってな覚悟で。今、1年くらい使ってますけど、今のところ錆の気配はありません。そうそう簡単には錆びないってことですが、何しろメーカーさんが禁止してるくらいの行為ですんでね、なんかの折りにボキって折れても、そこはまあ自己責任。諦めるしかないということを覚悟の上、お試しください。
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